ヤンググランプリ(YGP)が終わると、次はいよいよガールズグランプリ(GGP)だ。

今年は佐藤水菜の独り勝ちと言っていい1年だった。G1を全て勝ち、今日も勝つと、GGPも含む年間全冠制覇だ。さらに世界選手権ケイリン金メダルと、世界に敵はいないまま年末を迎えることになる。

山口幸二さん(右)の本命は児玉(撮影・鈴木正人)
山口幸二さん(右)の本命は児玉(撮影・鈴木正人)

佐藤が敗れるとすれば勝負どころで仕掛け切れず、不発に終わるパターンだ。22年平塚GGPがそんな展開だった。その時、児玉碧衣も同じ展開で敗れている。ただ、今年の佐藤は当時とは比較にならないほど航続距離が伸び、死角が少ない。梅川風子や山原さくらといった存在がレースをかき乱す展開になれば、波乱の芽が生まれる。

その波乱の中で浮上するのが児玉だ。今年は小倉競輪祭女子王座戦の優勝を目標に掲げ、宇都宮女子オールスター以降負け知らずでシリーズを迎えた。心技体、全てが充実していたはずだった。力強いコメントにも好調さを感じさせたが、結果は佐藤が優勝。児玉は決勝に進むことすらできなかった。

山口幸二さん(右)の本命は児玉(撮影・鈴木正人)
山口幸二さん(右)の本命は児玉(撮影・鈴木正人)

当然悔しい思いはあっただろう。それでも彼女は明るく振る舞い、後半戦の競輪祭をステージやネット配信で盛り上げた。ふがいない成績だっただけに、厳しい声も覚悟していたはずだ。しかし、ネットや場内から届いたのは温かい声援だった。ファンは児玉の胸中を感じ取っていたのだろう。その声に触れて児玉は笑顔で応えていたものの、目には涙があふれていた。

一発レースは何が起こるか分からない。今の児玉に必要なのは「負けて当然」の開き直る強さだ。結果を恐れず強気に攻めるレースこそが来年につながる。(日刊スポーツ評論家)