決勝メンバーが決まって取材エリアにいると、岐阜勢が集まってきた。そこに深谷知広が来た。私も少し緊張感を持って「決勝、頑張ってな」と声をかけた。すると不破将登と山田諒が「僕らにもレースの話してくださいよー」と言うので、「お前らはバットを短く持ってバントを狙い過ぎや」と活を入れて取材エリアを後にした。それをよそに、神妙な面持ちで決勝メンバーが通り過ぎていく。特に清水裕友は地元戦で気合を感じる。

準決10Rを制し、ファンサービスする清水裕友
準決10Rを制し、ファンサービスする清水裕友

決勝は山崎賢人がいるが、別線で優勝を狙う。勝ち方にもこだわる清水らしい選択だ。昨年S班だった選手がウィナーズカップを走るのは難しい。この大会はF1優勝者や1着を多く取った選手が、優先的に出られる大会だからだ。グレードレースばかりを走っていると、同じ1着を取るにも難易度が上がる。昨年の競輪祭の時点で、だいたいどれくらいの勝ち星が必要かが分かる。そこからフル回転で特選にシードされるまで、勝利を積み上げた。その無理がたたったのか年始は体調を崩して、熊本G1全日本選抜からのスタートとなった。それは、地元ウィナーズカップに懸ける執念だった。

決勝は、最近は前を任せることが多かった真杉匠に「前でやらせてくれ」と言った吉田拓矢の先行意欲が高そうだが、単騎勢もそろっているので単調なレースにはならないだろう。地元で1番車をもらった清水はリスク覚悟で、好位からの仕掛けでイチかバチか勝負する価値はある。(日刊スポーツ評論家)