私を揺さぶる、グランプリ-。12月16日からボートレース住之江で開幕する1年の総決算、SG「第40回グランプリ」に向けた特別企画がスタートする。
「Road to THE GRAND PRIXキャンペーン」と題した企画の第1弾としてトップレーサーの峰竜太(40=佐賀)、定松勇樹(24=佐賀)の師弟コンビにスポットライトをあてる。今年も上半期が終わりプライベート、理想のグランプリ、最高の栄誉をつかむための意気込みなどを熱く語った。(取材日=6月30日)
◇ ◇ ◇
18年12月24日。峰竜太は悲願だったグランプリ(住之江)の頂点に立ち、表彰式までの30分ほど、ずっと涙が止まらなかった。「安心感とか、それまでの軌跡がいろいろよぎって、もう涙が止まらなくて。でもあの人からかけられた言葉がすごく印象に残ってます」。表彰式の舞台袖で、優勝戦3着だった白井英治が、静かに峰を諭した。「竜太、お前が一番なんだ。泣いてないで顔を上げろ」。
おめでとう、は当然誰もがかける祝福の言葉。しかし当時すでにトップに立つ者の思いを知っていた白井は、違った。峰は「それってなかなか言えることじゃないと思うんです。今でも自分の中のお宝フレーズ。とても格好いいし、自分を一番と認めてくれた、そんな気がしました」。将来、自分の後輩がSGやグランプリで勝った時、自分も同じような言葉を投げかけてあげられるような人間でありたい。きっとその選手の人生も大きく変わるだろうと思えた。一番の重みを伝える。自分が現役であり続ける限り、その役割を担う覚悟ができた。
20年にもグランプリを制し、SG6冠。精神的にたくましくなった峰が、デビューしたての自分に言ってあげたいことがある。「天才じゃないんだよ、と。僕は独学でずっとやってきて、遠回りをして、何度も失敗して挫折して、今の自分にたどりついた。近道はいっぱいあるけど、お前のやってきたことは間違いじゃないぞ、と。それがカリスマ性であったり、スター性につながるんじゃないかと」。1600人いるボートレーサーで努力する才能は誰にも負けないと自負する。「何にフォーカスして、俯瞰(ふかん)して見る力は優れていると思います。みんなが逃げてるところ、苦手な部分にあえて立ち向かう力。つらいことを継続する力。普通は弱点を補うために、得意な部分でカバーしようとするんですが、僕はそこで遠回りした。だから今の峰竜太がある」。
グランプリを勝つのに必要なものは何か。それは勝った自分をイメージできるかどうか、だという。「乗ってきた選手みんなチャンスがあると思うんですけど、1位と18位では1走目の有利不利は当然。実はそれ以前に、根本的な部分で違いに気付けないんです。勝つには責任感や使命感を背負っていないと無理なんです。自分がその場に立って、感じて学ぶしか方法がない」。
以前、40歳で引退宣言をした。しかし今も現役。その理由は明快だ。「30歳から10年間、責任を背負ってきて、正直、つらくて病気になりそうだった。だからひとまずゴールを決めないと。誰よりも好きなボートレースで心を壊したくなかった。でも40歳を迎えて、考え方が変わりました。これからは2ndステージ、ボーナスステージにしよう、と。楽しみながらグランプリを走る姿を、ファンに見てほしいです。サボらずやってきたご褒美です」。年を取ってさらに涙もろくなった。でも今年、また黄金のヘルメットをかぶった峰は、きっと笑顔でステージに立つだろう。





















