この日は地元の奮闘が目に留まった。8Rを走った山内卓也は差せずに2着も「南部(翔大)があんなに突っ張るとは思わなかった。強かった…」とホッとした表情で振り返っていた。しかし、前検日より5歳は老けていたのは気のせいではないだろう。纐纈洸翔も厳しいメンバーをクリアして決勝入りしただけに、明るい表情だったことが印象に残った。

決勝でヤマコウが最も注目するのは、飛び付き番手まくりで準決を快勝した北井佑季だ
決勝でヤマコウが最も注目するのは、飛び付き番手まくりで準決を快勝した北井佑季だ

準決12Rを走った北井佑季にも変化を感じた。1着インタビューでは厳しいやじも飛んでいたが、それ以上に声援もあった。そうした空気の中でも淡々と受け答えする姿は、この世界で走り続ける現実を受け入れているように映った。

準決は24歳の木村皆斗との対戦。挑戦者の木村がやることは1つなので、北井がどう対応するかが焦点だった。レースは前受けして踏みながら木村の番手を奪取。「1度突っ張れば(木村は)打鐘あたりで仕掛けてくるとみていた。見切り発車でスピードを上げた」ことは、脚力だけではない9車の駆け引きだった。「流れの中でうまくスピードを出せるタイプではないので、過去に同じような展開を経験したことが生きた」と、レースを読む力という点では一枚上に感じた。

どれだけ結果を積み重ねても、今回の出来事と切り離して語られることはないだろう。それも含めて、彼は今、この舞台に立っている。ならば、勝つことだけではなく内容も問われる。評価も批判も全て背負った上で、どんな内容を見せるのか。足だけではなく、生き方も問われる。(日刊スポーツ評論家)