サッカー現場発

湘南曹監督パワハラ疑惑 激励、叱咤の判断基準とは

自分で答えを出せないまま、この文を書くのがもどかしい。ただ、問題提起をしたくて、あえてこの話題を選んだ。

湘南曹貴裁監督(19年4月6日撮影)
湘南曹貴裁監督(19年4月6日撮影)

湘南ベルマーレ曹貴裁(チョウ・キジェ)監督(50)のことだ。パワハラ疑惑があり、話題の中心にいる。すでに引退した一部の日本代表OBは、同監督を擁護する文書をSNSでアップすることもある。当然、被害を受けたと主張する選手やスタッフの視線は冷たい。

今回の曹貴裁監督の行為は、パワハラと認められる可能性が高い。激励、叱咤(しった)とパワハラを分ける線はどこか? 一部の人は激励、叱咤も受けた人の感情によってはパワハラと主張する。当然、そうでないと思う人もいる。

私の次女は種目は違うが、スポーツをしている。もし指導者からかなりのダメージを受けるほどのプレッシャーをかけられると、いい気はしないはず。情熱が感じられるなら、目をつぶる選択をするかもしれない。しかし、その度合いによっては、問題提起するだろう。自分の子供のことを考えると、その基準はすごく“被害者”寄りになるだろうと、思う。

何人かのOBに聞いてみた。年齢が上になるほど「むかしは…」と、同監督を擁護する発言が多かった。「プロはそんなに甘っちょろいものじゃない」「曹貴裁は情熱があるし、結果も出している」「曹貴裁の行動が問題なら、高校サッカーも含め、首になる監督はどんどん出てくる」など。理解できる。

15年以上も前、高校サッカーの名将と呼ばれた監督の厳しい指導逸話を聞いて納得したことがある。今なら文句なしのパワハラだ。今はそういう時代ではない。1人1人の人格と権利が尊重される。監督の罵倒などが原因で、まともな生活ができないなら、それは問題なのかもしれない。以前は良しとされたことが、時代の変化とともに判断基準が変わってきているのも事実だ。

今、ボールはJリーグ事務局に渡っている。すでに調査に着手しており、今回Jリーグから提示される裁定は、今後のサッカー界の基準になるだろう。Jリーグがどのような決断を下すか、注目される。【盧載鎭】

◆盧載鎭(ノ・ゼジン)1968年9月8日、ソウル生まれ。88年に来日し、96年入社。20年以上サッカー担当。長女は受験戦争、次女はフェンシングざんまい。最近子供たちと過ごす時間が減り、毎年恒例の奥秩父のキャンプにも行けず、寂しい思い中。

日刊スポーツのサッカー担当記者が取材現場の空気を熱く伝えます。

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