横浜FCのFWカズ(三浦知良、52)が南米選手権ブラジル大会で惜敗した日本代表へ“カズ流”のエールでさらなる飛躍を期待した。

日本は東京五輪世代主体で臨み、1敗2分けで1次リーグ敗退。得失点差で惜しくも決勝トーナメント進出を逃した。強豪ウルグアイに引き分けるなど善戦を称える声が多い中、カズはあえてこう口を開いた。

カズ 日本のレベルで「いい戦いはしたけど」ということは、この20年ずっと言われていたこと。今の時点できっと、コパアメリカに出て「いい戦いをした」という時代は終わったんじゃないかなと思いますね。やはり、強豪国と戦って、引き分けてほめられる時代ではなく、世界からも「何やってるんだ」と批判されるぐらいになったら、本当の強さ。早く、そうなるのを楽しみにしています。

カズは95年6月、日本、イングランド、ブラジル、スウェーデンの4カ国が参加したアンブロ杯に日本代表として出場した。イングランドには1-2で惜敗したが、終盤まで強豪国相手に引けを取らない戦いに「日本はいいサッカーをした」と世界で称賛された。カズは、当時を振り返りながら「(イングランド戦は)最後に入れられて負けて、結局勝てなかった。それからヒデ(中田英寿)の時代も、本田や香川のザッケローニ監督の時も、W杯ロシア大会のベルギー戦もそうだった…」と、20年以上にわたり立ちはだかる「世界の壁」の厚さを表現した。

Jリーグ開幕前の1992年に、日本代表は初めてダイナスティ杯に優勝した。その中心にカズがいた。92年より前は、中国、北朝鮮、韓国に勝てない時代が続いていただけに、決勝でPK戦の末に韓国を破っての優勝に、日本中がサッカーに注目し、歓喜にわいた。それから28年。日本はアジアで強豪国へと変貌を遂げ、6大会連続でW杯に出場するまでになった。現在もアジアの戦いは厳しいが、15年のW杯アジア2次予選でシンガポールと引き分けた際に批判が起こるなど、アジアの中では引き分けでも厳しい目が向けられる時代へと変わっていった。

カズは「僕らは韓国に勝って、良かった、と言っていた時代。日本も個が強い選手が出てきている。久保君もそう。多分、彼らが一番、満足していないと思う」。さらに、ブラジルが今回の南米選手権のベネズエラとの第2戦で引き分け、監督の去就問題が取りざたされたことを挙げ「今の日本のレベルで個々のスキルがさらに上がっている中で、日本もウルグアイやエクアドルと引き分けて、世界から批判されるぐらいになったら本物じゃないかな」と、アジアだけでなく、世界でも強さを発揮する将来の日本代表に期待した。

今回の南米選手権では、18歳でスペイン1部レアル・マドリードへの移籍が決まったMF久保建英が注目を浴び、十二分に存在感を発揮した。カズは「最高じゃないですか。あの年齢でね」と久保のプレーを称える。カズは10代でブラジルに渡り、プロとしてプレーしており、南米はもちろん、アジアの厳しいサッカーも熟知している。それだけに「アジアになると、体ごとつぶしにきたり、1人に対して複数で来たり、ちょっとかみ合わない。それをやられるから(日本は)アジアで苦労する」と独自の視点を話した。久保は今後、W杯予選の日本代表に招集される可能性も高いだけにカズは「そういうところで、どういう違いを見せていってくれるか」と今後の久保のプレーに期待していた。