オランダ1部PSVのMF堂安律(21)が東京オリンピック(五輪)に出場できない可能性に触れ、不安を口にした。15日のアウェーでのデンハーグ戦後「(クラブから)東京五輪出場を断られる可能性は、ゼロではない」と言った。A代表でも活躍する同世代の主役候補。五輪は各国協会、連盟に招集の強制力がない。もし招集できなければ、バルセロナMF安部が大けがを負い出場が絶望的となった中、自国開催で金メダル獲得を目指す森保一監督にとって、さらなる痛手となる。

ほぼ勝利が決まった後半36分から出場した試合後、堂安が突然、口にした。チームは2連勝。来季欧州CL予選3回戦の出場権が得られる2位AZとの勝ち点差を5に詰めた。ここが問題。リーグVなら、欧州CLに本戦から出場でき日程は五輪出場に影響しない。だが、2位だと同3回戦が8月上旬から。五輪と日程が重なる見込み。「欧州CLの出場権を取っちゃうと、五輪が…」と歯切れが悪い。「絶対に(五輪に)行かせると言われているわけでもない」。4年前、日本はエース格のFW久保裕也(当時ヤングボーイズ)の招集を拒否された。欧州CLに直結するとなれば、確約を得られないのも当然で、クラブの反応は「様子を見てみよう」だという。順位が2位に上がると五輪出場が不透明になる、複雑な状況だ。

冬季中断明けから公式戦6試合を消化したが、途中出場4試合で先発ゼロ。この試合でもGKとの1対1を決められなかった。このままでは実戦勘さえも、不安視される状況だ。(エリーヌ・スウェーブルス通信員)

◆東京五輪世代の海外組2列目の現状 タレントぞろいの2列目だが、現状、所属クラブでの序列が下がっている。昨年末まで所属先で主力だった久保建英(マジョルカ)と堂安律(PSV)、食野亮太郎(ハーツ)の3人は控えに。昨年11月に負傷離脱した三好康児(アントワープ)は、1月26日ワーレゲム戦で復帰したばかり。スペイン3部リーグだが、唯一レギュラーだった安部裕葵(バルセロナB)は右足のハムストリング負傷で五輪出場は絶望的。総じて厳しい立場に立たされている。