J2東京ヴェルディの元日本代表DF永田充(35)は、16年までプレーした前所属チームのJ1浦和レッズに惜敗し「勝つチャンスもあったと思う。勝ちきれないので勝たれてしまう。力不足だし、レッズが1枚上だと思う」と冷静に現実を見つめた。

 今季、リーグ戦は29節を消化したが、1試合も出番がなく公式戦は天皇杯2試合のみの出場にとどまっている。最後の公式戦は7月11日の天皇杯3回戦・関西学院大戦にまでさかのぼる。それでも、この日は最終ラインでの体を張った守備、正確なパスでのビルドアップ、静岡学園高(静岡)時代から武器だったロングフィードなど、持ち味を存分に発揮した。「こういうところでアピールしないと、試合には使ってもらえないので…。試合にあまり絡めていないですけど、使ってもらえればやれる自信は常にあるし、今日もJ1相手でしたけど、多少なりやれたと思うので」と前向きに語った。

 一方で後半19分に、かつて同僚だったFW興梠慎三が頭で折り返したボールを、FWファブリシオに右足で決められ、0-1で敗れた場面を振り返ると、悔しさをにじませた。「ゴール前の落ち着きなんかは、慎三とか、さすがだなとは思いましたね。ああいう場面で、普通はヘディングシュートを打っちゃいますけど、中に優しく折り返したりとか、彼も多分、寸前で変えたと思いますけど」と興梠の能力の高さを改めて口にした。

 また「ファブリシオもそうですけど、ゴール前での落ち着きは、うまかったですね」とファブリシオも評価した。そして「僕も正直、ちょっとボールウォッチャーになった感じがある。反省しています。(安定したプレーを)90分通してやりたかったですね…欲を言えば。点を取られたあたりから、自分のパフォーマンス自体も落ちてしまった感はあったので」と自らにダメ出しした。

 ミゲル・アンヘル・ロティーナ監督(61)が、試合後の会見で「リーグ戦で出場機会の少ない選手がたちが良いトレーニングを続け、今日、良いプレーが出来たことはチームにいい影響を与えると思う。我々スタッフにとっては心強い」などと評価したことを伝え聞くと「そう言っていただけると頑張りがいがあると言うか…見てはくれていると思うので、もっともっとアピールしないといけない」と言い、笑みを浮かべた。

 その上で「ここから練習なりでアピールしていかないと、また試合から遠ざかってしまう流れになってしまうと思う。天皇杯は終わってしまったので、もっと、もっと練習からアピールしないと」と自らの立場に危機感を募らせた。【村上幸将】