先制から追いつかれてのドロー発進にも、ミハイロ・ペトロビッチ監督(61)は試合後、満足そうに笑みを浮かべた。「狙いを持ってしっかり守備をしていたし、攻撃でもラストパスが通れば決定機という場面が得点以外にもあった。戦術的に規律を守って狙いを持ってプレーしてくれた」。指揮官の意図を理解して戦った選手たちが誇らしげだった。

試合序盤は押し込まれ、自陣でのプレーが多かったが、徐々に組織的に動けるようになった。試合を動かしたのは北海道コンサドーレ札幌。後半4分、今季公式戦初出場のMF中野からのグラウンダーのクロスを、FWジェイが左足でゴールに流し込んだ。リーグ開幕スタメンに座ったストライカーが決めた今季初得点。追いつかれ、結果はドローだったが「悪くない試合だった」と、うなずいた。

札幌にとっては新たなバリエーションが増えた。この日、横浜F・マリノスの布陣に合わせて守備時に4バックを採用した。左サイドハーフが主戦場のMF白井が左サイドバックに入り、サイドを駆けた。指揮官は「選手たちが守りやすい形で守った」と狙いを説明。2日の浦和とのリーグ第2節では3-4-1-2を試すなど、ベースとする3-4-2-1だけでなく、相手布陣によって変化する柔軟性が加わった。

高卒ルーキーのMF壇崎が先発プロデビューを果たすなど、浦和レッズ戦から先発11人総入れ替えで臨んだ1戦でも負けなかったことが、チーム力向上の証しだ。昨季ルヴァン杯はベテラン中心の構成で、J2ヴァンフォーレ甲府との初戦は0-3の完敗だった。同監督は「(檀崎)竜孔や(岩崎)悠人ら若い選手にポジティブないいものが見られた」と、物怖じしない若手の果敢なプレーを褒めた。

一夜明けた7日、チームは帰道する。1月中旬からタイ、沖縄、熊本と続いたキャンプが終わる。ジェイは「非常に長いキャンプがやっと終わって、札幌で家族と過ごせる。札幌でも頑張るよ」とほほ笑んだ。今季ホーム開幕戦は9日午後2時、札幌ドームでキックオフ。赤黒のサポーターと、清水を迎え撃つ。【保坂果那】