【リヤド=木下淳】浦和レッズ(日本)GK福島春樹(26)が唯一の失点を悔やんだ。ACL初出場となった敵地でアルヒラル(サウジアラビア)と対戦し、0-1で敗戦。前半から西地区王者の猛攻を耐えしのいでいたが、後半15分に均衡を破られた。

それまで堅実なクロス対応を見せていた中、相手DFブライクが右サイドから上げたボールに「食いついてしまった」と一瞬、前に出てしまう。触れず戻れずでボールは頭上を通過。走り込んだカリージョに最終ラインの岩波、橋岡の間を突かれてゴールに押し込まれた。「いけると思ったけど想像以上に伸びた。予測不足。判断ミス。経験も足りなかった。どっしり構えれば良かった」と言い訳することなく振り返った。

後半の1点に沈んだが、前半はビッグセーブを連発した。33分にペルー代表MFカリージョのヘディングシュートを右手1本で防ぐと、37分にも元イタリア代表FWジョビンコのシュートを右に横っ跳びで両手セーブ。「自分でもよく止められたなと。鹿島戦の反省を生かせた」と無失点で折り返した。

鹿島戦とは、1日のJ1リーグ戦のこと。不動の守護神、西川周作(33)が累積警告でACL決勝の第1戦に出場できないことが決まった後、大一番に備えて自身が起用されていた試合だ。J1初先発ながら落ち着いてゴールマウスを守っり、後半26分まで無失点。ところが0-0の27分、MF土居のミドルシュートを左手1本で止めたものの、前にこぼしてしまい、FWセルジーニョに押し込まれていた。「あの場面は手首をかえしてCKに逃げるべきだった」と当時反省していた通り、今回は2本とも決定機をCKで切り抜けて体勢を立て直し、セットプレーからは得点を許さなかった。

人生初のACL出場が決勝という大舞台。3バックの槙野や鈴木が「春樹のせいじゃない」とかばったように、失点以外はチームを救う出色の出来だった。もちろん、1点が勝敗に直結するポジションのため福島春は責任を背負い込んだが「試合前、みんなから『めったにない機会だから楽しめよ』と言われて心強かった。完全アウェーの中、最初に緊張したのは事実だけど、楽しかった。次も出たいという欲が出たし、もっともっと、いろんな経験をしないといけない」と飛躍のきっかけになりそうな一戦をかみしめた。

大槻監督からも「0-1という結果は残念だったけど、見ての通り、彼自身のパフォーマンスは素晴らしかった」と評価された。敗れはしたが、2失点、3失点してもおかしくない劣勢を最少失点で切り抜けた。これでホームでの第2戦に望みをつなぎ「次の埼玉が後半戦。優勝したい」と福島春。24日に向けて鉄板の西川を突き上げることで、残り2週間でもまだチームを底上げできる-。第2GKを勤め上げたシーズンのクライマックスに、自負を確信できた一夜となった。