鳥栖が存続危機、主力協賛が相次いで離脱し資金難

  • 2019年6月23日、現役引退発表 会見で心境を語った元スペイン代表でJ1鳥栖FWフェルナンドトーレス。右は竹原稔社長

サガン鳥栖が、資金難によるチーム存続危機に立たされたことが18日、分かった。

ここ数年、攻撃的な経営で事業拡大を目指したが、逆にチーム経営を圧迫した。元スペイン代表FWフェルナンドトーレスを獲得するなどで話題は集めたが、スポンサー開拓には結びつかなかった。このほどJリーグに緊急事態を報告した。新型コロナウイルス感染拡大で他のクラブも経営圧迫されている現状で、Jリーグは「リーグ戦安定開催融資制度」適用などの解決策を模索している。

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鳥栖が資金難に陥ったのは、昨季からだった。ここ数年業績が悪く、昨年7月にJリーグが公開した18年度のクラブ決算ではJ1クラブ最多の5億8100万円の赤字。果敢な投資の一方で資金繰りに苦しみ、佐賀県などで薬局を経営する会社の経営者でもある竹原稔社長(59)が私財を投じて経営を維持してきた。その額は30億円を超えるともいわれる。当初は、今年初夏までは経営できるとの見通しでその間、新規のスポンサー探しに全力を注いだ。しかし、昨季前に背中スポンサーのcygames(サイゲームス)が離れ、今季直前に胸スポンサーのDHCが契約延長しないなど主力協賛会社が離れた。

Jリーグ幹部は「鳥栖が苦しんでいるとの報告は届いている。しかし今、新型コロナウイルスで経営が圧迫されているクラブは他にも多いので、リーグ戦安定開催融資制度を鳥栖1つのクラブにつぎ込むことは難しいかもしれない。まず理事会を通すことはできるかの問題もある。実行委員会でも相当な反対が予想される」と話した。

とはいえJリーグとして、鳥栖を消滅させるわけにはいかない。その救済策として、まず基金として約10億円を保有するリーグ戦安定開催融資制度を適用できるか模索。09年に資金難の大分がこの制度(当時は公式試合安定開催基金)を申請して6億円の融資を受け、その後チームを立て直した実績がある。しかし、今回は新型コロナウイルスの感染拡大で複数のクラブが経営圧迫されているため、融資できるかは未知数だ。

他には市民クラブへの移行が考えられるが、地元企業やサポーターで組織する持ち株会は不景気の現状で地元企業の賛同を得られるか予測できない。また、鳥栖がJリーグ子会社の「株式会社Jリーグ」に運営会社の株を譲渡し1年間、経営する案もある。経営しながら、チームを受け入れる企業などを探すことが考えられる。Jリーグの子会社が直接Jクラブの経営に携わることへの違和感があるため、株譲渡なしで「株式会社Jリーグ」の保証付きで、賛同するスポンサーを募っていくことなども方法の1つだ。

いずれにしても鳥栖の再建には障壁が高い。それでも、あるJクラブ幹部は「リーグとして鳥栖をつぶすわけにはいかないから、何らかの方策は出すはず。まずは今季、J1を鳥栖含めて18チームで乗り切ることが大事だから」と話した。

新型コロナウイルスの影響で、リーグ戦の再開日程が決まらないなど、当面の課題は山積み。世界保健機関(WHO)は「パンデミック(世界的大流行)」を表明し、東京五輪パラリンピックの中止、延期も取りざたされている中、Jリーグが打ち出す解決策に鳥栖の命運がかかっている。

○…鳥栖の竹原社長が日刊スポーツの取材に応じ、経営難は認めつつも、リーグ戦安定開催融資制度の利用には否定的な意見を述べた。「親会社のない地方クラブは今、どこも経営は苦しいし、特にJ1で戦うことは難しい」。またリーグ戦が延期になっていることにも触れ「選手のコンディション調整がすごく難しい。地域を盛り上げていくため、選手は頑張っているし、我々も頑張ってスポンサーも探している。Jリーグへ資金援助を求めることは考えてない」と話した。

◆サガン鳥栖 97年に創設され、99年のJリーグ2部制移行に伴い、J2参加。11年にJ2・2位でJ1昇格を決め、以降降格なし。J1最高順位は12年と14年の5位。今季は金明輝監督が指揮を執り、FW豊田陽平、MF高橋秀人らが所属。チーム名は長い年月をかけて砂粒が固まって砂岩「サガン」となり小さな力を集結し立ち向かうことと「佐賀の」に由来。チームカラーはブルーとピンク。本拠地は駅前不動産スタジアム(2万4490人)。

◆リーグ戦安定開催融資制度 Jクラブの財政難によって公式試合の開催が危ぶまれる事態となった場合に、大会を無事に終了させる目的でJリーグがJクラブに融資を行うもの。融資開始日は1月1日。返済期日はJ1、J2の場合はJ1参入プレーオフの最終日、J3はJ3リーグ戦の最終節の日。融資を受けるJクラブに対する制裁として、融資の決定と同時に原則としてリーグ戦における勝ち点を10点減ずる。

<過去の公式試合安定開催基金の融資例>

◆J2草津(05年) スタジアム使用料滞納など(5000万円)

◆J2岐阜(08年) スポンサー離れ、入場料収入減少(5000万円)

◆大分(09年) 過剰な投資で経営圧迫(6億円)

◆J2水戸(11年) スポンサー離れなどで経営不振(3000万円)