サッカーの北海道学生リーグ1部、北海学園大のテクニカルアドバイザー(TA)に就任した元北海道コンサドーレ札幌DFの大森健作氏(44)が2日、札幌市内で本格的な指導を開始した。

今春就任もコロナ禍で延期され、この日からのスタートとなった。今後、週1~3回のペースで指導を行っていく。同氏は「小中高の選手を教えたことはあるが、大学生は初めて。みんな熱意があるし、いろんな意味で結果を残せるようにサポートしたい」と意気込んだ。

同大は昨年8月の総理大臣杯全日本大学選手権に21年ぶり出場も、初戦で拓大に0-11で大敗した。今春、全国との差を縮めるために伊藤一志監督(59)とDF小川拓斗主将(4年)が中心となって大森氏に打診。同氏も学生たちの成長意欲を感じ、TA就任に至った。

大森氏は「1人1人の顔を見て、話をしながら、それぞれの良さを引き出していきたい」。伊藤監督は「高いレベルでいろいろな経験をされているので、説得力が違う」と話した。

徐々にステップアップを図る。同大は道学生リーグ2部に降格した17年にOBの伊藤監督が就任し、翌18年に1部復帰。だが、同監督は会社員のため、平日はコンスタントに指導ができず、学生中心の活動が続いていた。小川主将は「自分たちだけでやっていると、詰め切れない部分が出てくる。プロで結果を残してきた大森さんの言葉には力がある。チームとしても個人としても、いろいろなことを学びたい」と、早くも刺激を受けていた。道学生リーグはコロナ禍で延期中。詳細は未定だが9月以降、1回戦制に短縮しての実施を検討している。状況が落ち着き、試合ができるときまでにしっかり“健作イズム”を吸収していく。

大森氏はこの日の練習後、札幌時代に指導を受けた元日本代表監督の岡田武史氏(63)の言葉を引き合いに出し、選手に語りかけた。「岡田さんに教わった言葉がある。『勝負の神様は細部に宿る』と。みんなはプロじゃないし、目指すところはいろいろあって難しいと思う。でも、アップでも何でも、ちょっとした意識付けで変わる。1つ1つのプレーを丁寧に正確に。そして仲間を信じて。1人でも『誰かがやってくれる』と思っている人間がいると、ずたずたにやられる。神様は必ず見ている。やる以上は100%出し切ろう。力になりたい」。J1昇格、残留、J2降格も経験してきた。栄光も挫折も知る44歳が、若者たちのためにひと肌脱ぐ。【永野高輔】