元日本代表FWカズ(三浦知良、54)が、JFL鈴鹿ポイントゲッターズにJ2横浜FCから期限付き移籍することが11日に正式に決まった。同じJFLの高知ユナイテッドSCもカズに獲得オファーを出していたが、ライバルクラブに及ばなかった。

高知の西村昭宏ゼネラルマネジャー(GM、63)は、カズの鈴鹿入りについて「それでも、JFLというリーグに来てくれることになった。JFLにとって、ビッグプレゼントになった」と、前向きにとらえている。

昨年12月16日、当時は監督兼任だった西村GMは、大阪府内で自主トレ中だったカズとの移籍交渉に、クラブのオーナー、社長、今季からの監督昇格が内定していた吉本岳史コーチ(43)と4人で交渉の席についた。

高知の本拠地は県立春野総合運動公園で、プロ野球やJリーグのキャンプ地でも有名だ。カズもヴィッセル神戸時代にキャンプで使用した経験があり、最高の天然芝で試合や練習ができる環境を熟知してくれていたという。横浜FC時代のカズの後輩だった吉本コーチは、次期監督としてカズの必要性を訴えた。

ただ、計8クラブによる争奪戦の末に12月27日、高知にはカズから直接、断りの電話があった。クラブへの感謝を述べたカズに、西村GMは「カズらしい律義なあいさつだった。改めてカズ獲得に手を挙げてよかった」と振り返る。

Jリーグ実質4部相当のJFLは今季、第24回を数える。3月13日に開幕し、11月20日までに1チーム30試合を戦う。ホームアンドアウェー制で、高知遠征にカズがやってくる可能性が当然ながら生まれた。

「我々のサポーターもカズを見たくて、多くの人が足を運んでくれるはず。そのためにも、高知をより魅力あるチームにしたい」

元日本代表DFでセレッソ大阪や京都サンガのJクラブを指揮し、JFLでも監督を経験した西村GM。実際にカズならJFLで活躍できると判断し、今回のオファーに至った。今度はライバルクラブとして、カズの活躍を阻止しなければいけない立場になる。

「カズを取ったクラブ(鈴鹿)がどう、彼のよさを最大限に発揮できるかでしょうね。カズを生かせる戦術やオプションが、きっとあるはず。(大阪での自主トレを見た限り)体はしっかり動けていたし、実戦もできていた。あとはチーム次第でしょう」

鈴鹿は昨季のJFLで4位となり、あと1歩でJ3昇格はならなかった。同じJ3を目指す高知は13位だった。両者の直接対決も今季の話題になるだろう。カズの存在も発奮材料にする高知は、14日から今季の全体練習を開始する。【横田和幸】