欧州選手権開幕を前にした6月6日、イスラム教徒にとって重要な宗教義務である断食を行う期間、ラマダン(断食月)が始まった。


 現在世界中には約16億人のイスラム教徒がいると言われており、欧州選手権に出場する各国代表選手の中にも彼らは含まれている。しかし今回のラマダンは7月5日までで、つまり同大会開催時期と完全にかぶってしまう。規則では、日の出から日没まで飲食ができないわけだが、現地でこれはだいたい午前4時半から午後10時頃となり、ほぼ丸1日。極限まで肉体を追い込む選手たちは、これにどう対応するのだろうか。


 トルコにルーツを持つドイツ代表メスト・エジルは今季終了後、同代表召集まで、つかの間のオフを利用し、メッカへ巡礼の旅に出たほどの敬虔なイスラム教徒である。しかし大衆紙「ビルト」によれば、同選手は「夏はかなり暑いし、強度の高いトレーニングと試合をこなさなければならない。だから断食をするのは不可能だ」と話し、大会期間中は実施しないことを明かしているという。


 また父親がチュニジア人のドイツ代表サミ・ケディラも「100%のパフォーマンスを出すためには、栄養と水分が必要だ」と、エジルと同様の見解を示し、エムレ・チャン、シュコドラン・ムスタフィの同代表2選手も、通常通り飲食する予定だそうだ。


 同紙によると、スウェーデン代表のエミール・クヨビッチは「欧州選手権が終わってスウェーデンに戻ったあとに断食するよ」とコメントし、イスラム教に改宗したBミュンヘン所属のフランク・リベリーなども、シーズン中ではなくオフに断食を行っていることをかつて話していた。このため先述のドイツ代表4選手らも、おそらくシーズン以外の時間を利用し、今後少しずつこなしていくものと見られている。


 ちなみにホスト国フランスは、大会期間中の断食中止を決定。同代表にはポール・ポグバ、エンゴロ・カンテ、バカリ・サニャらのイスラム教徒がおり、3選手にはイスラム法で許されているハラール食が出されるという。ディディエ・デシャン監督はこの特別措置について、「最も大事なのは、選手たちが『居心地が良い』と感じることだ」とコメントしている。