サッカーのワールドカップ(W杯)北中米3カ国大会で、前後半に3分ずつの飲水タイム「ハイドレーションブレーク」が設けられた。国際サッカー連盟(FIFA)が厳しい暑さを想定し「選手の最良なコンディションを確保するため」導入を決定。ただ、実際の気温に関係なくプレーが止められるため「事実上の4クオーター制」や「飲水タイム中の広告料が最大の目的では」との声もある。

14日の日本-オランダ(ダラス)は屋根付きの会場で空調が効いて涼しかったが、予定通り飲水タイムが挟まれた。すかさず大型ビジョンに清涼飲料水の広告、続いてチアリーダーのダンスが映し出され、米国で人気のバスケットボールなどを思わせる演出だった。

この3分を利用し、監督は戦術的な指示を伝えている。日本の森保一監督は大会前にクオーター制をイメージし「どう過ごすかで展開ががらっと変わってくると思う。うまく利用したい」と述べた。洪明甫監督の韓国はチェコ戦の後半の飲水タイムで意思統一し、攻勢を強めて勝ち越し点を奪った。本来の目的は水分補給でも、さながら「作戦タイム」の様相だ。

試合の流れは寸断され、欧州で強豪クラブを率いた米国のポチェッティーノ監督は「賛成しない」と率直だ。スイスのヤキン監督は「メリットもデメリットもある」と指摘し、元日本代表の川口能活さんは「リードされているチームにとってはプラス」と推測した。

米国内の放送局の対応は分かれる。FOXスポーツはCMに切り替え、スペイン語放送局のテレムンドはチームの様子や試合の分析で放送を続ける。ロイター通信によるとオランダのファンダイク主将はCM利用に否定的で「(気温に応じ)試合ごとに個別に判断すればいい」と話した。

飲水タイムはW杯で2014年ブラジル大会から一部導入された。当初は違和感を持たれたが、温暖化も相まって酷暑下の試合では珍しくなくなった。一律に実施する今回の方式が受け入れられれば、今後のスタンダードになる可能性もある。(共同)