令和に新たな優勝校が誕生した。7年ぶり3度目出場の国学院大が残り700メートルの逆転劇で、3大駅伝初制覇を果たした。

4番手でたすきを受けた6区のアンカー土方英和(4年)が3人を抜き去り、2時間9分58秒でフィニッシュテープを切った。高かった前評判通りの力を示した。2位は2時間10分6秒の駒大、3位は2時間10分9秒の東洋大。連覇を狙った青学大は2時間10分51秒の5位だった。

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右手人さし指を高く突き上げ、土方はゴールテープを切った。祈っていた仲間と歓喜に浸った。「ゴールテープを切ることを考えてはいたが、まさか…本当に達成できるとは思ってなかった」。昨季から主将を担い、チームを全日本6位、箱根7位の過去最高成績に導いた。そして令和初の3大駅伝。新時代の到来を告げるように強豪を退けた。

たすきを受けたのは首位駒大の中村大聖と37秒差の4番手だった。「追いつけるとは思っていなかった」。目標の「3番以内」を目指し、走りだす。だが東海大西田のハイペースに乗ると、遠かった埼玉栄高の同期の背中はどんどん近づいた。残り700メートル。追いつき、一気に離した。29分5秒の区間賞。00年に主将として駒大の箱根初Vを遂げた前田監督も「まさか逆転できるとは。ただただ感動した」。主将も指揮官も「まさか」のドラマだった。

「明確」。それがチームが飛躍したカギだった。食堂入り口には、毎月の個々の目標を記した紙が掲示される。それに今季から自己記録を更新した選手はシールを貼る。5000メートルなら赤、1万メートルなら緑、ハーフマラソンなら黄色。日常で、視覚的にチームメートの成長を感じる。それが競争意識を生み、成長を促した。土方は日本学生対校選手権1万メートルで日本人トップ3位に入り、箱根5区区間賞の浦野も5000、1万メートルでチーム記録を更新。多くの部員も続いた。またジョギングも「ロード」「芝」「砧公園」のどこでやるか申告制に。練習の目的意識もはっきりさせた。

出雲は6区間も、全日本は8区間、箱根は10区間となる。土方は「課題は選手層」と受け止めた上で、今後の駅伝に向け「優勝、2位も見ながら3位以内を取りに行きたい」。チームスローガン「歴史を変える挑戦」は続く。【上田悠太】