服部勇馬、マラソン「東京で開催して」本音隠さず

偽らざるアスリートの本音だった。20年東京オリンピック(五輪)男子マラソン代表に内定している服部勇馬(25=トヨタ自動車)が17日、地元の新潟・十日町市役所を訪問し、札幌開催への変更案が出ている東京五輪マラソンについて言及。自身はもちろん、多くの人が入念な準備をしてきただけに「東京で開催して欲しい気持ちが強い」と述べた。その上で、札幌開催になっても「万全の準備を」と強調した。

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本音を隠さなかった。服部は家業を継ぐか悩んでいた13年9月、東京五輪の決定によって「マラソンで代表を目指す」と決意した。東京の街を走る未来像を明確に強く描き続けてきた。

「僕自身は東京の舞台を目指してマラソンを始め、ここまでやってきた。東京で開催して欲しい気持ちが強い。そのために日本陸連、東京都、警察、ボランティアらの方々がMGCを成功させようと努力をしてくれた。いろんな方が東京五輪に向けて、準備、対策をしている。そういった思いをしっかり感じて欲しい。声を聞いてもらいたい」。

16日夜の国際オリンピック委員会(IOC)の発表は、家族と食事中に知った。スマートフォンのニュースで「札幌」「五輪」の文字を見た時は「冬季五輪が決まったのかな」。そう勘違いするほど想定外だった。事態の当事者であると知り、驚くしかなかった。

東京五輪とほぼ同じコースだった代表選考会MGCは試走を何度も重ね、勝負のイメージを作った。結果は最後の上りで大迫を逆転。2位に滑り込み、内定を得た。本番の最高の予行演習にもなったが、このまま札幌に変われば「走ったことがないコースになる。なかなか地の利を生かすことは難しい」。残りは9カ月。調整を考えるとフルマラソンを走る予定はない。「地の利」の優位性が下がるのは否めない。もともと暑さは苦手。給水の仕方など努力で克服して、今がある。「暑さへの準備、対策をすれば、東京でも十分可能だと思う」。その言葉には説得力が宿る。

今後の練習は「大枠は変える必要はない」とするが「スピード勝負に耐えられる力を磨く。海外勢のペースの上げ下げに対応できる力はつけないと」とも言う。東京の暑さのレースより、札幌では海外勢に付いていくスピードが必要。それは描いていた戦略が突如として、修正を余儀なくされることでもある。

その上で強調する。「ルールにのっとって戦い抜きたい。最大限の力を発揮し、メダル獲得に向けて頑張りたい。決められたことに対して、万全の準備をするのが一流のアスリート」。「アスリートファースト」とされる東京五輪。たかが1人、されど1人。その声の意味は重い。【上田悠太】