仙台育英(宮城)が令和初の全国高校駅伝を26年ぶりの男女アベック優勝で飾った。男子は7区でアンカーの吉居駿恭(1年)がトラック勝負を制し、2時間1分32秒でゴールした。15年に世羅(広島)が樹立した大会記録に14秒まで迫る歴代2位のタイムで12年ぶり8度目の栄冠。

女子は1区の小海遥(2年)が区間賞で勢いをもたらすと、2区で一度首位を譲ったが、3区で逆転し、1時間7分で2年ぶり4度目の優勝を達成した。

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都大路で男子の仙台育英も復活した。5秒差の2位でタスキを受け取ったアンカー吉居駿が、トラック勝負で逆転し、3秒差で先着した。倉敷(岡山)の長塩寛至(2年)と並走しながら競技場に戻ってくると、かぶっていた帽子を手に取るのをスイッチに、残り200メートル付近で一気に加速。徐々に突き放すと優勝を確信し、右手を突き上げながらゴールテープを切った。

頭は冷静だった。「倉敷の選手がトラックに入る前にペースを上げたが、自分の方が余力があると思ってました。残り200メートル過ぎから切り替えればいけると感じ、怖い気持ちもあったが、先頭争いはめったにできないので楽しかったです」。練習の集団走からラスト100メートルで仕掛けることを意識。その成果をここぞの場面で見せつけた。

中継所からリラックスムードで、タスキを受け取る前は笑みを浮かべた。「アンカーを楽しみながらやろうという気持ちと、緊張し過ぎないように意識しました」。真名子圭監督(41)は中学時代から吉居駿の勝負強さと度胸を見抜き、「ラスト勝負ならお前だ」とアンカーを1カ月前に指名。吉居駿も監督には直接伝えなかったが、「アンカーで走りたいと思ってました」と結果で応えた。

12年ぶり優勝に導いた真名子監督は12年に就任した。震災の影響もあり男女10選手が豊川(愛知)に集団転校する危機的状況だった。「県内外から部員が集まらない中で来てくれた8人の顔が浮かびました」と苦しかった当時を回想。「2年前に女子が優勝して、そのときに3位になったのもうれしかった。それでも去年11位で悔しい思いをして、大会終わりのミーティングでアベック優勝しようと話して、それができて良かったです」と胸をなで下ろした。都大路を走った下級生は4人。03~05年の3連覇のような黄金時代を再び築く。【山田愛斗】