ツアー初優勝を狙う北村晃一(34=ミッションバレーGC)が、首位で予選を突破した。

4位から出て6バーディー、1ボギーの66で回り通算10アンダー。日本テレビ系「行列のできる法律相談所」で知られる北村晴男弁護士の長男が、遅咲きの初勝利へ夢をつないだ。3年ぶりのツアー通算15勝目を目指す石川遼(27=CASIO)と黄重坤(27=韓国)を含めて首位に3人が並んだ。九州南部を襲った大雨の影響で、7日の最終日は過酷な36ホールで争われる。

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見せ場は最終18番パー5で訪れた。残り220ヤードの第2打は、まさか左の崖下へ。「ああ、どっかに行ったな」。そう北村はつぶやいた。第3打は、グリーンの見えない斜面下から。打った瞬間には「行方はボールに聞いてくれ、と。そうしたら、観衆がウワーッと沸いた」。走って駆け上がると、ピン側30センチへピタリ。絶体絶命のピンチをチャンスに変えてバーディーを奪い、首位に浮上した。

テレビでも活動もする北村晴男弁護士の長男で、名門の中大法学部に進んだ。弁護士の道を歩もうとしたが2年で断念。大学のサークルで野球をしながら、ガソリンスタンドや家庭教師のアルバイトに明け暮れた。それでも父の背中は大きかった。法律の道は諦めても、大学4年時に「オヤジがゴルフを好きだから」という理由で、本格的に競技に取り組むようになった。

プロデビューから足掛け7年となる17年に、初の賞金シードを獲得するも1年で喪失。今大会は昨年7月のツアー外、北陸オープンの優勝で得た出場権だった。

大雨の影響で開催が1日遅れ、最終日は過酷な36ホールとなる。優勝を争うのは復活を目指す石川遼だ。北村は「何とか予選だけは通ろうという思いで、ここに来た。僕が勝つのは、僕自身が予想もしていない」。そう言いつつも、神奈川・桐光学園高の二塁手として01年春、02年夏の甲子園に出場しており「甲子園の暑さに比べたら、ゴルフ場は問題ない」。七夕の最終日。願いをかなえる1日になる。【益子浩一】

 

◆北村晃一(きたむら・こういち)1985年(昭60)1月2日、神奈川県生まれ。桐光学園から中大に進学。22歳から競技を始め、09年プロテスト合格。ツアー外競技の12年北九州オープンでプロ初優勝。今季は主に下部ツアーに出場し、今大会が今季初のレギュラーツアー出場。得意クラブはパター。趣味はカラオケ。170センチ、72キロ。