復活優勝に王手をかけた石川遼(29=CASIO)が最終ラウンドを回っている。フジサンケイ・クラシックの優勝となれば、2連覇した10年大会以来3度目となる。復刻版として10年大会を振り返る。
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◆2010年9月6日掲載
石川遼(18=パナソニック)が6時間に及ぶ「22ホールの激闘」を制し、ツアー最年少で大会連覇を達成した。2位に3打差の単独首位でスタート。67で回った杉並学院高の2年先輩・薗田峻輔(20)に、途中で首位を明け渡したが、最終18番でスーパーショットからのバーディーで追いついた。70で回り、通算9アンダーの275で並んだ薗田とプレーオフに突入。4ホール目で振り切った。18歳最後の大会で、今季2勝目、通算8勝目を挙げて、賞金ランキングも今季初めて首位に浮上。2年連続賞金王を視野に入れた。
連覇への執念だった。首位薗田と1打差で迎えた最終18番。石川は第1打を左バンカーに入れた。パーなら優勝はない。終戦ムードが漂い始める。残り176ヤード。8番アイアンを握った。手の震えは止まらない。それでも集中力を高め、振り抜いた第2打はピン前1・5メートルに。「今日のベストショットでした」。がけっぷちのミラクルショットでバーディーを奪い、プレーオフに持ち込んだ。
2位と3打差でスタートしたが、いきなり1番でボギーをたたく。5番のボギーで早々と首位を薗田に明け渡した。そこからは高校の先輩とのマッチレース。得意のインの後半は、10、11番の連続バーディーで首位に並んだが、12番のボギーで再び2位に後退した。14番で2・5メートル、15番で1・5メートルを外し、バーディーチャンスを逃す。首位薗田に2打差で迎えた17番。3メートルのバーディーパットも入らず、その場でしゃがみ込んだが、その直後に希望の光が差し込む。薗田が最終18番でボギーをたたき、1打差になった。
石川 掲示板を見たら、薗田さんのスコアが9アンダーに変わった。チャンスかなと。消えかかった闘志が再び燃え始めた。
今週はショット練習の始めに、約10分間、必ずバンカーから8番アイアンで打ち続けた。芝の上では分かりづらいインパクトの調整。よみがえった勝負魂と、日々の練習の積み重ねが、最終ホールでのミラクルショットを生んだ。
高校の先輩と後輩のプレーオフは、意地と意地がぶつかり合った。高校時代に「キング」と呼ばれていた薗田も譲らない。ともにパーで耐え続けた4ホール目。石川がパーパットを沈め、5ホール目に備えていると、薗田の1メートルのパーパットがカップに蹴られた。その瞬間に連覇が決定。薗田に「ありがとうございました」と言って、抱き合ったが、すぐに笑顔はでなかった。
石川 もう1ホールやるつもりだった。僕の方が運が良かった。先輩との一騎打ち。すべての視線が2人のショットに注がれ、夢のような時間だった。いつまでも続いて欲しかった。
ジュニア時代から薗田とのツアー出場、そして優勝争いを夢見てきた。18歳と20歳。2人の戦いが、こんなにも早く実現できたことは、連覇同様に価値がある。「薗田先輩の精神力はすごかった。勝った負けたより、何かすごくいいものを学べた」と振り返った。
最終日58のギネス記録を出した4月の中日クラウンズ以来、今季2度目の優勝で、賞金ランキングも初めてトップに立った。コーチの父勝美氏(53)も「今年は賞金王を狙ってもいい。まぐれで(賞金王に)なった昨年とは違う」と成長に目を細めた。「(今後は)すべての試合で優勝争いをしたい」。18歳最後の区切りの大会で劇的な優勝。2年連続賞金王へ、一気に加速しそうだ。【田口潤】

