【バーゼル(スイス)=松熊洋介】世界ランキング1位の山口茜(22=再春館製薬所)が同32位のシンガポールのヤオ・ジアンミンに12-20、18-21のストレートで敗れる波乱が起きた。

スタートから山口の様子がおかしい。何でもない球をネットにかけたり、無理な体勢でスマッシュを打ってアウトにするなど、世界1位の動きではなかった。納得いかないプレーに首をかしげ、コートに落ちそうな球を飛び込んでも拾おうとするいつものガッツあふれるプレーは影を潜めた。試合後山口は「相手のやりやすいようにプレーさせてしまった」と肩を落とした。

7月のインドネシア・オープン(OP)、ジャパンOPと連続優勝。2週間で10試合を戦ったため、疲労を考え7月末のタイOPを欠場したが、その後熊本に帰省後の28日に腰に痛みを感じた。山口は「それまで調子も良かったし、いつも以上に動けていたので、その分ケアをしっかりしていたつもりだった」と語ったものの、8月8日の代表合宿までほとんど練習ができていなかった。合宿で初めて腰痛の話を知った朴監督は前日会見で「聞いてびっくりした。合宿はフル稼働できなかったけどどんどん良くなっているので大丈夫」と話していたが、実戦練習は16日のスイス入りしてからだった。

ゲーム間のインターバルには腰をアイシングするシーンも見られた。普段の強いスマッシュもほとんどなく敗れたことに山口は「痛いから強打できなかったわけではない」と強調したが「インドネシアOP、ジャパンOPが良かっただけに、そのイメージとのギャップが埋められなかった」と多少の影響があったことを明かした。

東京五輪選考レースの中、一番ポイントの高い大会で、世界1位がまさかの初戦敗退。山口は「負けてしまったのは仕方ない。でも第1シード、世界1位としてはもっと立派なプレーをしなければいけないと思う」と反省を述べた。

あくまで調整不足の敗戦と語る山口。「多少の違和感が残る」という腰の状態をしっかり治し、万全の状態で再び五輪選考レースに戻ってくる。