優勝の羽生結弦が北京への思い、引き際の美学を語る

【オークビル(カナダ)=佐々木隆史】五輪2連覇の羽生結弦(24=ANA)が、22年北京オリンピック(五輪)を視野に入れていることを初めて明かした。

フリー180・67点を記録し、合計279・05点で今季初戦で優勝。大会終了後、これまで明言してこなかった北京五輪への思いを語った。史上初のクワッドアクセル(4回転半ジャンプ)成功を第一優先にしながらも、その先に3度目の大舞台を見据えた。

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3連覇が懸かる22年北京五輪について、羽生は「(そのシーズンまで)そのままやっていたら出ます」と、さらりと言ってのけた。大会終了後、会場内の一室で行われた日本メディア向けの囲み取材。矢継ぎ早にさまざまな質問が飛んだ。引き際について「負けるぐらいだったら辞めろっ、て思ってる。ぶざまな姿は絶対見せたくない」と価値観を示した上で、「明言はできないですけど、常に強い自分でありつつ、その先にそれ(北京五輪)があったらと思います」と、今後についての思いを初めて明かした。

これまで「次の五輪については考えられない」と態度を明らかにしていなかった。3月の世界選手権後、同じように北京五輪について聞かれた時は「誰が北京五輪でチャンピオンになるのかを楽しみにしながら、これから過ごしていきたい」などと話していた。しかし、この日は「自分の中では競技生活の延長線上にある」と、自身の競技人生の中に組み込んでいることを明かした。

消えかけた炎が再燃している。幼少期から「夢は19歳と23歳でオリンピックに出て、両方優勝して辞めること」だったという。その言葉どおり14年ソチ、18年平昌で優勝。達成感とともに、勝利への欲が消えた自分に気が付いた。しかし世界選手権で2位になったことで、再びエンジンがかかった。「羽生結弦終わったな、と言われるのは絶対嫌」と、さらなる高みを目指し、歩き始めている。

五輪は視野に入れつつ、今は4回転半ジャンプ習得を最優先に掲げる。「4A(クワッドアクセル)やるためにスケートやってるなって思う。そのために生きている。修行僧みたいな感じ」と強い思いを口にした。ジスラン・コーチは「彼は挑戦することが好きだし、自分の限界に挑戦したい男」と羽生を評する。夢の4回転半ジャンプ習得の先には、北京五輪が自然と見えてくる。