札幌に移転した20年東京五輪のマラソン、競歩について話し合う大会組織委員会と札幌市、北海道の3者による第2回実務者会議が18日、同市内で行われ、両競技の発着点について同市中心部の「大通公園」とすることで合意した。来月4日の国際オリンピック委員会(IOC)理事会で承認を得る。マラソンは北海道マラソンをベースにし同市中心部を2周するコースが示された。競歩は「札幌駅前通」を会場とする。日程は固まらなかったが、組織委は男子マラソンを最終日の8月9日に行う従来案で最終調整している。

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札幌に移った東京五輪のマラソン、競歩の発着点は合意に至ったが課題は多い。大通公園では今年で66回を数えた「さっぽろ夏まつり」がある。地元にはこのイベントへの影響を最小限にしたい思惑がある。

しかし、IOCとの開催都市契約が障壁となる。IOCの事前承認なしに本大会と大会前後1週間に他のイベントを開催してはならないと定められている。

今年は7月19日~8月16日に実施され約200万人が来場した同まつり。来年の五輪期間は7月24日~8月9日のため時期は丸かぶりな状況だ。中心的なイベントは「大通ビアガーデン」。今年のイベントマップによると発着予定地のすぐ隣からビアガーデン会場が広がっている。

組織委のビール会社の公式スポンサーはアサヒビールのみ。しかし、ビアガーデンにはサッポロ、キリン、サントリーなどが名を連ねる。それらの看板などが五輪中継に映り込む問題も生じる。組織委の森泰夫大会運営局次長は「マーケティングの問題をどうクリアしていくか。地元に迷惑がかからないようにしたい」と述べ、周辺イベント問題は課題が山積だ。

同市や地元経済界が町を挙げて行う巨大イベント。同市担当者は「競技期間中でもイベントを中止するという話も出ていない」と話し、同時開催すら諦めていない。地元への補償問題も取りざたされる。記者団から「IOCへ補償を求めるのか」と問われた森氏は「具体的なケースはまだ検討していない」と語った。

札幌市民にとって同まつりは、北海道の短い夏を楽しむために生活の一部となっている大切な存在。同まつりを中止するぐらいなら「五輪なんて、やらなくていい」とまで話す市民は少なくない。大会までわずか約8カ月という時期に、地元と溝が生じれば致命的だ。【三須一紀、浅水友輝】