コバルトブルー戦士が「伝統校」の威信を取り戻した。磐城が、大会2連覇を狙った学法福島を24-17で撃破。県勢最多となる10年ぶり27度目の優勝を果たした。大会前に右眼窩(がんか)底を骨折したSH上遠野晶太主将(3年)が同点トライを挙げるなどチームをけん引。強い決意と覚悟を胸にアクシデントを乗り越え、12月27日開幕の全国大会(大阪・花園)に駒を進めた。

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聖地・花園切符を告げるノーサイドの笛が響くと、伝統の青と白のジャージーを身にまとった磐城フィフティーンが抱き合って喜びを爆発させた。2年連続の同一カード決勝で雪辱を果たし、11年以来10年ぶりに福島王者に輝いた。左手を高く突き上げた上遠野主将の頬には涙が光っていた。

「やっとです…。(前回大会は)自分のパスミスで負けてしまった。先輩方の思いも背負って、悔し涙がうれし涙に変わった」

正念場は試合終了間際だった。大型選手がそろう相手FW陣のドライビングモールに自陣ゴール前にくぎ付け。FWの平均体重差は約15キロ。だが、チーム一丸で辛抱強く耐え抜いた。なんとかチャンスの芽を摘み取り、歓喜の瞬間を迎えた。「しっかり我慢できた。相手のモールに耐えるため、普段の練習から姿勢を意識して声掛けも徹底しながらやってきた」。

大会開幕1カ月前にアクシデントに見舞われた。試合形式の練習中に上遠野主将がチームメートと接触。顔面を強打し全治3カ月の右眼窩(がんか)底骨折と診断された。脳裏には「花園予選には間に合わない」という考えがよぎったが、そこから驚きの回復を見せた。担当医の“ゴーサイン”とともに準決勝聖光学院戦から復帰。黒い安全ゴーグルをつけピッチに立った。この日は0-5の前半10分、ゴール前のラックから右中間に同点トライ。手負いの頼れるキャプテンがチームに流れを呼び込んだ。

上遠野の兄峻さん(順大3年)も同校でラグビー部主将を務めたが、花園にあと1歩届かなかった。兄から主将の座を4年越しで引き継ぎ、近いようで遠かった夢を実現させた。「花園は夢の舞台。ピッチに立てるだけでもありがたい」。いざ、10年ぶりの花園へ-。兄の思いも背負って力を出し切る。【佐藤究】