フィギュアスケート男子の冬季オリンピック(五輪)2連覇王者、羽生結弦さん(27)が19日にプロ転向を正式表明し、競技会の第一線から退く決断を下した。「羽生結弦の軌跡」とし、フィギュアスケート史に金字塔を打ち立ててきた羽生さんの挑戦の歴史を連載で振り返る。

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「4回転ループという新しいおもちゃを持った子どものようだ」

16年10月、スケートカナダ。2位の羽生は、師事するコーチのオーサーに冗談交じりで苦言を呈された。

平昌へのプレ五輪シーズン。同9月のオータム・クラシックでは国際スケート連盟公認大会で史上初の4回転ループに成功。新しい武器を完璧にしようと、ループの練習に没頭した。

オーサー「トータルパッケージを大事にしなさい」

羽生「ジャンプが決まらないとトータルにならない」

意見のすれ違いが、表面化するのは異例だった。

羽生には悔しさがあった。15年11月のNHK杯では目の前で金博洋(中国)が4回転ルッツ-3回転トーループに成功。けがで療養中の16年4月には宇野昌磨が4回転フリップに初成功。「4回転時代」は加速した。羽生は、五輪連覇に向けて「フリーで4回転4本では十分ではない」と発言。トーループ、サルコー以外の4回転が必要になっていた。

2位だったスケートカナダの演技構成点は5項目すべて8点台。オーサーが「4回転ループが頭の中で大きな存在になって他の部分が犠牲になっていた」と、言うのも無理はなかった。

次のNHK杯まで約1カ月。2人は腹を割って話し合い、全体の振り付けまで気を配るようになった。NHK杯はループを含む4回転3本に成功、演技構成点も9点台。自身3度目の300点超えで優勝した。

羽生「本音を言えずにもやもやしていた。(指導を受けて)4年目にして、だいぶ垣根がなくなった」

オーサー「彼もミスする、私もミスする。いつも完璧じゃない。2人、歩み寄った。より強い関係を構築する数カ月だったと思う」

このシーズンは、勢いのままにGPファイナル4連覇、世界選手権も3年ぶり2度目の優勝を達成した。(敬称略)

【13~19年担当=益田一弘】

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