2030年冬季五輪での除外が決まったノルディックスキー複合。国際オリンピック委員会(IOC)の決定を受け、22年北京大会銅メダリストの山本涼太(29、長野日野自動車)は「五輪は僕にとっての全て。当たり前だった場所がなくなった」と落胆を隠せなかった。
スキーやスノーボードではワールドカップや2年に1度の世界選手権でもトップを争うため、出場枠がより限られる五輪にこだわらない選手も少なくない。ただ、山本は「一番高い目標が五輪での金メダル」と言い切る。
その理由の一つが、複合選手だった父直鋭さんの存在だ。国内トップクラスの実績を残しながら、大舞台に届かなかった父からは「五輪の金メダルはすごいんだぞ」と繰り返されてきた。山本はその言葉を今も胸に刻み、早大2年の時に父を亡くした後も目指す場所が揺らぐことはなかった。
初出場の北京大会では、渡部暁斗らと組んだ団体で銅に輝いた。今年のミラノ・コルティナ大会を経て、渡部暁は引退。日本複合界の新たな担い手として、一層の活躍が期待されたタイミングでの悲報だった。
メディアなどに取り上げられる機会が多い最高峰の場が失われた影響は、複合の未来にも及びかねない。山本は「子どもたちが複合を知る機会がすごく減ってしまう」と競技人口の減少を危惧し、「自分に何ができるかを考えていきたい」と言葉を紡いだ。
ここ数年、選手らが働きかけてきた女子の採用が実現しないだけでなく、男子まで除外される結果になった。IOCは34年五輪での復帰に可能性を残したが、人気向上など直面するハードルは高く「(8年後を)前向きに捉えられる選手もいれば、後ろ向きになる選手もいると思う」と複雑な胸中を明かした。(共同)


