“パッション姫野”が頂点へ導く。日本ラグビー協会は15日、都内で9月8日開幕のW杯フランス大会に臨む日本代表メンバーを発表した。主将に任命されたフランカー姫野和樹(29=トヨタ)は、19年日本大会での過去最高8強超えを誓い、目標を「優勝」と言い切った。チームは19日に日本をたち、26日(日本時間27日)のイタリア戦後に本番の舞台、フランスに入る。

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東京駅を象徴する赤れんがの駅舎を背に、黒で装飾された日本代表専用バスが到着した。午後1時半から丸の内の特設会場で行われた壮行会。姫野は全選手の最後にステージに立った。抽選で選ばれたファン881人へ、新主将は誓った。

「4年間をかけて準備をしてきました。たくさんの犠牲を払って、ここまで来ました。全てはW杯で勝つためです。我々は、歴史を変える自信があります」

4年前、25歳だった男は日本大会全5戦に先発。空前のラグビーブームとともに、ボール争奪戦での「ジャッカル」が代名詞になった。その裏で開幕直前、ジョセフ・ヘッドコーチ(HC)からは要望を受けた。

「自分に集中してくれ」

それまで名を連ねていたリーダー陣から外れた。まとめ役としての責任感が重圧に転じ、姫野も「不安もあった」と振り返る。プレーに影響を及ぼさないための配慮を受け入れ、この大会は自らに矢印を向けた。

リーダーへの志は常にあった。代表では同じFW第3列の先輩リーチと競い「将来は超えたい」と背中を追ってきた。所属するトヨタでは1年目から主将。21年には王国ニュージーランドへ武者修行に出た。あの「要望」から4年。代表での立ち位置は変わり、今度はジョセフHCに「強い気持ち、情熱がある」と大役を託された。矢印を自身だけなく、チーム全体に向ける自信が、今はある。

「情熱、愛情、自分のリーダーシップでチームを引っ張りたい。今度はリーチさんを超えないといけない。歴代最高のキャプテンと言われるよう頑張りたい」

道は険しい。チームの合言葉は「エベレストに登る」。標高8849メートルの世界最高峰に例え、この日も目標は「優勝」と言い切った。だが、国内5連戦は1勝4敗と結果が出ていない。本番まで約3週間。わずかではなく、まだまだ進化するための時間はある。姫野を中心に全員が歩を合わせ、スピード豊かなスタイルに、さらに磨きをかける。

「ここからはデスゾーン(標高8000メートル超え)に行く。生きるか死ぬかの戦い。そこで生きていくために、残りの時間をチームで過ごすことが大事になる」

情熱と愛情で、日本の道しるべとなる。【松本航】

○…前大会で主将を務めたフランカーのリーチ・マイケルが、日本にとって大事な4本柱を掲げた。フッカー堀江とともに、4大会連続のW杯。「4」にかけたのか?「お酒、カラオケ、お笑い、ハードワーク。この4つがすごく重要だと思います」。まさかの並びで報道陣の笑いを誘ったが、本人はいたって真剣。「バランス良く出来ればみんないい状態で行けると思う」と続け、オンとオフの切り替えを大切に戦いに向かう。