南アフリカが3度目の優勝を果たし、ニュージーランドの最多優勝に並んだ。前半10分、SOポラードが先制のPGを決めると、そこから両チームPG合戦の様相。ハイレベルな決勝はともに、なかなかトライが奪えない。

同30分ごろ、圧巻のDF力を見せた南ア。自陣5メートルラインでイングランドの猛攻を何度も食い止める。インゴールぎりぎり、トライを許したかに見えた相手FWの突進も何とか食い止め、3分以上の猛攻を耐え続けた。

ホーンが鳴った後、今度はスクラムで相手コラプシングを誘発。約40メートルのPGをポラードが決め、この日、4本目となる12得点で前半を折り返した。

後半26分、南アにとって決勝戦初となるトライが生まれた。インゴールまで残り約40メートルの左サイドタッチラインぎりぎりでWTBマピンピがパスを受ける。相手DFの裏へちょこんとキックパスし、最後はボールを受けた味方から再度パスを受け、歴史的なトライを挙げた。

圧巻は同34分。身長170センチの小柄な体にもかかわらず、爆発的なスピードを持つことから「ポケットロケット」の愛称で親しまれているWTBコルビが4人のDFに囲まれながらも30メートル以上を独走し、優勝を決定づけるトライを奪った。

前回大会で日本に歴史的な敗北。最終的に3位となったが、W杯終了後も格下イタリアに初黒星を喫し、ニュージーランド戦では0-57という屈辱にまみれた。低迷していた強国の再建を託されたのが、昨年3月に就任したエラスムス監督(46)だった。

現役時代に代表主将も務め、誰とでも率直に話す姿勢で知られる指揮官は、データと対話重視のスタイルを追求。コリシを黒人で初の主将に据え、伸び悩む選手にはポジション転向を勧めるなど改革を進めた。

今大会は準々決勝で日本を撃破し、しっかりと借りを返した。決勝では圧倒的なDF力でイングランドを封じ、世界一を手にした。【三須一紀】