全日本スキー連盟は19日、北京五輪日本代表内定選手を発表し、モーグル女子では川村あんり(17=東京・日体大桜華高)らが選出された。今季W杯3勝の成長株が、初めて臨む五輪の舞台で頂点に挑む。男子ではエース堀島行真(トヨタ自動車)や、平昌五輪銅メダルで競輪との二刀流が注目される原大智(日本スキー場開発ク)が選出された。スノーボードのハーフパイプ男子は昨夏の東京五輪でスケートボードに出場した平野歩夢(23=TOKIOインカラミ)らが選ばれた。

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夢だった大舞台への切符を手にし、胸を高鳴らせた。高校2年の川村は「五輪はモーグルを始めたときから憧れていた大会。楽しみな気持ちが大きい」。フィンランドと日本をつないだオンライン会見で笑顔を見せた。

W杯総合2位に食い込んだ昨季から、今季はさらに高いレベルで成績が安定。五輪前最後の試合でも勝利をマークするなど、今季9戦目を終えた時点ですでに3勝を挙げ、総合首位に立つ選手だけがまとえる黄色いビブスを手にしている。「イエロービブをいま持っていることもそうだし、滑り自体も良い。自分に自信を持って滑れている」。表情に充実感が漂う。

強さの要因の1つがぶれないターンだ。急斜面でも体のバランスを保ち、絶妙なひざ使いでこぶを乗り越える際の衝撃を吸収。「スピードもある程度出るし、大きく崩れたりもしない。安定したターンが自分の強み」と自己分析。さらに、エアの技術も世界トップクラスにある。

北京五輪では、18年平昌五輪金メダルの女王ラフォン(フランス)や、今季好調のアンソニー(オーストラリア)と上位を争う構図となる。メダルを獲得すれば、10年バンクーバー五輪のフィギュアスケート女子で、19歳で銀メダルを獲得した浅田真央を抜いて冬季五輪の日本女子最年少メダリストとなる。そして金メダルを取れば、日本モーグル勢としては98年長野五輪の里谷多英以来24年ぶりの快挙となる。

目標とするのは表彰台のてっぺんだ。「自分が持っているものをすべて滑りに出してメダルを取りたい。金メダルを取りたい」。新女王候補は、高らかに宣言した。【奥岡幹浩】

▽川村(かわむら)あんり 

◆生まれ 2004年(平16)10月15日生まれ、東京都東久留米市出身。

◆二重生活 3歳の頃からスキーを始める。小学校の1、2学期は東久留米市内の自宅から通い、3学期には祖父のマンションに近い新潟県湯沢町で学んだ。中学3年間は新潟(湯沢中)で過ごし、高校から再び都内(日体大桜華)へ。

◆スポーツ スキーに専念しているが、中学時代は学校活動でソフトテニス部にも所属した。

◆W杯デビュー 中学3年の19年12月にW杯で国際大会デビューすると、いきなり日本勢最高の2位に入り、表彰台に上った。シーズン後には国際スキー連盟による最優秀新人賞を受賞。20-21年シーズンのW杯総合2位。

◆英語 英会話が堪能で、海外での大会のインタビューにも流ちょうな英語で対応する。ソフトカバーなどの洋書もすらすら読みこなせるという。

◆身長 156センチ。

 

◆北京五輪のモーグル 斜度28度のコブ斜面を滑り、途中2カ所のジャンプ台でエア(空中技)を交える。タイム、エア、ターンの3つの要素を得点化(100点満点)し、合計点で争う。審判員は7人で5人がターン(上下2人を除いた3人の採点で60点満点)2人がエア(20点満点)を採点する。予選は1回目の10位までが決勝に進み、2回目で残りの決勝進出者を決める。2回目は1回目も含めた高い方の得点を採用する。20人による決勝の1回目は12位までが2回目に進み、2回目の6位までが3回目に進んでメダルを争う。各回とも滑走は1回。