スノーボード女子パラレル大回転の三木つばき(18)が8日、初めての五輪舞台に挑む。自宅のある静岡・掛川市は雪は積もらない。しかし、多くの市民から資金、物品支援を受け「掛川から世界へ」のシンボルとして人気者になっている。新茶や新米、オーダーメードの枕、フィットネスジムでのトレーニングなど掛川市全体からの大きな愛情が「北京でメダル、ミラノで金」の目標を掲げる三木を強力に支えている。
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三木つばき後援会は2016年7月、掛川市民を中心に約200人の会員からスタートした。三木が桜が丘中学1年のときだった。中根製茶の中根福次会長が後援会の会長となり、地元の製茶業をまとめて基盤をつくった。
中根会長 スノーボードは詳しくないけんど、知人から「スノボですんげぇ速く滑るスーパー小学生がいるずら」と聞いていたんだが、そのときは分からんかった。しばらくしてテレビのローカルニュースでつばきの特集をやっていて、調べたら近所に住んでいた。雪のない掛川の宝だ。後援会をつくるべ、という流れになった。
後援会では法人会員から1口5000円、個人から同2000円を集め、三木に活動資金として渡している。21年末までに会員は300人に達していたが、今年1月21日に北京五輪代表が発表されてから約50人が新規会員になった。会費からの支援金以外では、中根会長が三木の海外遠征前には必ずお茶パック(100グラム)を5袋持たせている。
物品提供では隣市の菊川市の農家でスノーボーダーの井指(いさし)康宏さん(46)がことあるごとに三木に米30キロを渡している。粒がしっかりして粘りよりもさっぱりした味わいの「キヌヒカリ」「キヌムスメ」を「いさしのお米」とブランド化させたものを渡している。井指さんは「海外遠征ではやはり米食が恋しくなる。つばきちゃんを支える家族にも食べてもらいたいから、オレは三木家に米支援をしてるのよ」と白い歯を見せる。
三木の自宅から歩いてすぐの「蒲団(ふとん)屋山昇」はオーダーメードの枕をつくっている。池端重人店長(59)は「遠征に持っていってもらっている。安らかな眠りの確保が成績にも結びつくんです。つばきちゃんが世界で活躍していることを知って、自宅に言って枕をつくる提案をした」と話す。
「掛川スイミングスクール・ケイフィット」もフィットネスジムのマシンを無料で自由に使える契約を結んだ。「遠征で忙しくて19年7月の利用が最後でしたが、下半身強化が中心でしたね。ウチは健康志向の50代が主要なので、プロの本気のトレーニングは参考になりました」と話す。掛川自動車学校は「受講者と年齢がかぶる。ウチは宣伝とかではなく純粋に応援したいからスポンサーになっただけ。だって、頑張ってるもん」と語った。
共通しているのは三木が遠征から帰国すると、その年の活動報告書と翌年の年間計画書を説明するため必ず顔を出すこと。三木が中学3年だった18年10月からメインスポンサー契約を結ぶ地元企業「キャタラー」広報担当の西倉圭一さん(41)は「つばきは常に一生懸命。中3で明確な目標を持っていた。北京でメダル、次のミラノで金。そのひたむきさに多くの掛川市民が本気で応援する気になる。メダル、やってくれると思いますよ」と拳をギュッと握りしめた。【寺沢卓】




