20キロクラシカルの立位男子で川除大輝(21=日立ソリューションズJSC)が金メダルを獲得した。スタート早々にトップに立つと、徐々にペースを上げて、10キロは2位に49秒8差をつけて通過して独走態勢になった。15キロは2位との差をさらに1分15秒に広げて、最後は2位に1分30秒以上の大差をつけてゴールを駆け抜けた。

生まれつき両手足の指の一部がなく、ストックを持たずに両手を振ってスキーを滑らせる走法。序盤は落ち着いて入って、得意の後半に順位を上げていくレースプランだったが、2キロ以降はトップを独走する圧勝だった。

17歳で出場した前回の平昌大会はスプリントの9位が最高だった。この4年間で筋力、スタミナを強化。スキーの上にしっかりと重心を置いて滑るフォームも進化した。19年の世界選手権でも20キロで優勝するなど実績もあったが「まさか自分がという気持ちが大きくて、まだ実感がわかない」とレース直後は喜びよりも驚きの方が大きかった。

7大会連続出場で過去3つの金メダルを誇る第一人者の新田佳浩(41=日立ソリューションズ=)は7位だった。

◆川除大輝(かわよけ・たいき)2001年2月21日、富山市生まれ。生まれつき手足の指に欠損があったが、小1から地元クラブでスキーを始める。富山・雄山高で全国高校総体に出場し、卒業後はノルディックスキーの強豪日大に進学して、パラの日本代表活動と並行して健常者ともしのぎを削る。18年平昌パラリンピックは個人ではスプリント9位が最高。混合10キロリレーは4位。19年世界選手権(カナダ)の20キロクラシカルで金メダルを獲得した。