沙羅ちゃんが「地の利」をいかして世界の頂点に立つ-。ノルディックスキー・ジャンプの女子は5日、国家ジャンプセンターで行われる。五輪3度目の出場の高梨沙羅(25=クラレ)は4日の公式練習で最終調整した。雪印メグミルクスキー部総監督の原田雅彦氏(53)は会場のジャンプ台が、得意の山形・蔵王のものに似ていると指摘。「沙羅ちゃんイケる」と、日本女子ジャンプ界初の五輪女王の座を期待した。

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4年間の成果をぶつける日が近づく。強風のため3回目のジャンプが中止となり、2回で試合前日の公式練習は終了。高梨は3度目の挑戦で悲願達成を誓う。「誰が勝ってもおかしくない状態ではある。目指すところは金メダルなので4年間をかけて変わってきた姿を見ていただけるように頑張っていきたい」と力を込めた。

会場は五輪のために建設された最新施設。形状が緩やかな助走路が採用されている。山形・蔵王のものと形状が似ており、映像で確認した原田氏は「沙羅ちゃんに向いているジャンプ台じゃないかな」と分析。「みんなが同じ位置に落ちやすい『落下型』と呼ばれるタイプ。あまり差がつかないから、空中での技術のある選手が有利。海外勢より沙羅ちゃんイケるんじゃないかな」と期待した。蔵王は高梨がW杯で優勝した61度のうち最多タイの8勝をマークした会場だけに、プラスに働きそうだ。

3日の公式練習では3回ともに100メートル超えを披露した。この日は1回目88メートル、2回目96メートル。「あまり良くない状態ではあると思うけど、しっかり自分のジャンプが明日につなげられるように今日収穫できたことをいかしたい」と引き締めた。続けて着地では「ある程度テレマークを入れる感じはつかめた」と、最後の仕上げを完了した。

平昌五輪後は不振も、昨季はW杯3勝と復調。W杯個人総合首位のクラマーは新型コロナ陽性となり欠場する。ライバル不在に複雑な気持ちもあるとはいえ、金メダルへの条件はそろいつつある。【保坂果那】

◆高梨の五輪過去2大会 女子が初採用された14年ソチ大会はW杯個人総合首位に立ち、金メダル最有力候補として臨むも、1回目100メートルで3位。2回目98・5メートルにとどまり順位を一つ下げてメダルを逃した。18年平昌大会は1、2回目ともに103・5メートルで初の銅メダルを獲得した。