国武大晃(20=STANCER)は4位、大塚健(20=バートン)は9位に終わった。優勝は、中国の蘇翊鳴(スー・イーミン)。日本のメダル奪取を阻んだのは、日本人コーチの指導を受けた17歳の少年だった。

2回目の試技で93・00点の高得点を記録するなど、2位に10点以上の差をつける合計182・50点。6日のスノーボードスロープスタイルで獲得した銀メダルに続き、金メダル獲得を確定させると「すごくうれしい。両親、コーチ、中国に感謝です」と涙ぐんだ。競技時には必ず身に着けるという、母からもらった誕生日プレゼントのネックレスをさすった。

蘇を4年前から指導するのは、日本人の佐藤康弘コーチだ。6日の競技後、現地のテレビ局、フェニックステレビの取材に応じた佐藤コーチは「中国代表として(中国に)行くことはとても迷いましたし、正直葛藤もありました」と率直な思いを打ち明けている。

それでも、決断させたのは蘇の人間性だったという。「僕を信用してくれる心を感じました。17歳とは思えないくらい人間的に素晴らしい」と説明。さらに、「普通は10年かかるレベルに3年半で到達した」という潜在能力の高さを評価した。

蘇が銀メダルを獲得した際には、「僕の人生を変えてくれてありがとう。これは僕たちのメダルだ」とメダルを首にかけてくれた。佐藤コーチは「思い出すだけで感動する」と目を潤ませ、「関係性をずっと継続させていきたい。スポーツを通して日中友好の懸け橋になれたら」と力強く話していた。

蘇と佐藤コーチのルーティンは、競技前に抱き合うこと。蘇は、この日も変わらない抱擁を力に変えた。競技後も佐藤コーチの元に直行。今度は、泣き笑いのハグを交わした。

中国のSNSユーザーからは、「小さい体の中に無限のエネルギー」「完璧な成人式」と称賛の声。特に、佐藤コーチとの国を超えた師弟関係には「まるで親子のようだ」「すばらしい関係性」と感動の声が相次いでいた。【勝部晃多】