日本が決勝でカナダに屈し、連覇を逃した。エースの高木美帆(27=日体大職)、高木菜那(29=日本電産サンキョー)、佐藤綾乃(25=ANA)のメンバーで臨み、一糸乱れぬ美しい隊列で突き進んだが、最終周の最終コーナーで高木菜那が転倒し敗れた。カナダは2分53秒44の五輪新で、日本の記録は3分4秒47だった。

   ◇   ◇   ◇

菜那の転倒の場面は、最後に前の佐藤をプッシュできる状況になったところでバランスを崩した。カナダに差を詰められている状況で、足もいっぱいいっぱいだったはず。特にカーブは遠心力で体重の2倍の負荷がかかる。金メダルが限りなく近かった最終コーナー。ギリギリを攻めなければならない状況で、やむを得ない。

ただカナダは今季W杯で3戦3勝。格上と言っていい。体格も良く、体重があるため「プッシュ作戦」が効果的だった。余談だが、体重が軽い日本はプッシュ作戦に向かない面がある。

平昌ではオランダとの一騎打ちだったが、カナダが力をつけ北京では三つどもえになった。準々決勝で1位通過し、準決勝は比較的楽なROCが相手。結果論はあまり言いたくないが、そこで押切美沙紀を使うオプションもあったかもしれない。

ただ、あの転倒は責められない。菜那はマススタート、美帆は1000メートルに気持ちを切り替えてほしい。(五輪4大会出場、日体大監督)