東京オリンピック(五輪)のトップバッターとなるサッカー競技のU-24日本代表は今月、強豪アルゼンチン代表との国際親善試合から、五輪イヤーの活動をスタートさせる。コロナ禍でも日本協会が先駆けて政府各所と交渉し、徹底した防疫対策のもとで対外試合の開催を実現させた。この機を逃すまいと、森保一監督(52)はMF久保建英(19=ヘタフェ)らA代表組を含めた総力を集結させた。

海外から選手や関係者を呼んでの活動で、いかにコロナを防ぐか。日本協会の責任のもとで行う対策は、率直に「ここまでやるのか」と思わされる厳格なものだった。

検査は来日前72時間以内、到着時の空港、その後は毎日実施し、到着翌日から3日間いずれも陰性となって初めて試合出場が許される。宿泊先のホテルはチームでフロアを貸し切りにし、一般利用者との動線を分ける。海外組と国内組でフロアを別にし、移動のバスや練習場のロッカールームも分ける。選手らは活動終了後にも検査を受け、陰性が確認されてからホテルを出られる。外部からの隔絶だけでなく、チーム内でも接触を最小限としている。

日本協会の須原専務理事は「対応できる中で最高レベルのもの」と、政府側との議論を重ねて徹底的に対策を突き詰めたことを強調した。コロナ禍では異例といえる、国内開催の国際試合。ここで感染対策の成功例を作ることができれば、今後の活動や、ひいては東京五輪本番に向けたモデルケースにもなる。

サッカー界はこれまでもJリーグが日本野球機構(NPB)とタッグを組んで専門家の意見をもとに対策ガイドラインを作成するなど、スポーツ界全体の先頭に立ってコロナと向き合ってきた。須原専務理事が「優先されるべきは国民の健康安全の確保」と話すように、根本にはスポーツ興行が成り立つために国民を守るという思いがある。チームには、制約のストレスをはね返して勝つ姿を見せることが求められる。

21日をもって緊急事態宣言が解除された。首都圏では感染者数の下げ止まりが続く中での解除に賛否がある。コロナ禍の先行きは不透明だが、スポーツ界は今夏に五輪が開催されることを想定して前に進むしかない。その先陣を切る今回の活動を、何とか予定通り乗り切ること。難しい手綱が、日本協会の手元に置かれている。【サッカー担当 岡崎悠利】