<ロサンゼルス五輪 平泳ぎ4位 長崎宏子(46)>

 五輪の東京招致は一昨年9月、日本時間の早朝に決まりましたが、その瞬間は自宅で寝ていました(笑い)。日中はベビーアクアティクス(乳幼児対象の親子水泳=千葉・舞浜のシェラトンホテルで開催中)の指導をしているので、夜は睡眠が大事。テレビで国際オリンピック委員会(IOC)総会の生中継を見ていた夫や娘たちの歓声で目が覚めました。

 寝る前から「招致はほぼ決まりでしょ」と安心していたんです。東京には欠点がなかった。経済的な安定感やおもてなしの心に加え、スポーツに対する理解度が以前より高まり、選手のサポート態勢も充実した。私が現役だった1980年代と比較すると、大きく変化しています。

 日本オリンピック委員会(JOC)や各競技団体が90年代以降、「日本国内だけで戦っていては、世界では勝てない」と気付いて、海外でのコーチング研修を充実させた。日本人の指導者が海外の指導法を学んで、技術面でもメンタル面でも選手の指導に生かしている。競泳では、大学以降も活躍する女子選手が増えた。選手の成績が上がると、国の補助金ももらえる。練習施設も整った。相乗効果がありました。

 私は五輪に2度出ましたが、五輪選手を育てるのは難しい。才能、センス、努力、いろんなものがかみ合わないと五輪には出られない。それでも五輪でボランティアをするとか、関わり方はいろいろ。東京都民以外の人も関わってほしい。日本は小さい国だから、「東京だけ盛り上がればいいじゃない」という風潮にならないように、組織委員会は導いてほしい。

 東京五輪の期間中は、海外の避暑地に行こうかな(笑い)。都内は人が増えて混むので。私の自宅もきれいにして、海外の人に泊まってもらうとか。52歳になるので、忙しく働くのは若い人に任せます。

 三女(14)がフェンシングをやっています。もし東京五輪に出られたら、大変なこと。でも私が会場にいたらプレッシャーだろうから、観戦しない方がいいかも。長女の希(まれ、19)は女優で、歌って踊れる。東京五輪の開会式に参加したいと言っていた。子供と五輪の関わり方を想像するのは楽しいですね。

(2015年01月07日東京本社版掲載)

【注】年齢、記録などは本紙掲載時。