<女優 冨士真奈美(77)>

 スポーツ全般が大好きで、とにかくライブ中継で見るようにしています。あのライブ感がたまらなくて、五輪中継は録画はしないで、必ず中継で見ています。

 五輪との出合いはラジオ。私は静岡県の沼津と三島の間にある清水町で生まれ育ち、物心ついた時からラジオを聞いていた。雑音が入るラジオだったけれど、選挙速報と五輪中継が大好きだった。1952年のヘルシンキ五輪は、古橋広之進さんと橋爪四郎さんの水泳実況にかじりついてました。古橋さんは全盛期を過ぎて、400メートル自由形で8位。悔しかった。

 64年の東京五輪の時は既に女優デビューしていて、ドラマの撮影中で、生では見られなかった。でも、「東洋の魔女」と呼ばれた女子バレーが優勝したときは、撮影を中断して副調整室にみんなが集まって、興奮しながら見ていました。

 一番感動したのは岩崎恭子ちゃんが金メダルをとった92年のバルセロナ五輪平泳ぎ。恭子ちゃんの出身地が私の故郷のお隣なので、余計感動したし、うれしかった。2004年のアテネ五輪で柴田亜衣さんが女子自由形800メートルで金メダルを取った時も感動した。五輪史上の快挙でしょ。女子水泳の長距離で金メダルをとるのは大変なことで、そんな時代が来るとは思わなかった。隔世の感がした。

 女子サッカーのなでしこジャパンの試合もリアルタイムで見た。今、自分が過ごしている同じ時間に、彼ら、彼女らも緊張して勝負に臨んでいるのかと思うと、胸が躍ります。過酷な練習を積み、勝負の瞬間を迎えている、とてもスリリングだし、そんなアスリートの姿を見られることは、すごくありがたいいただきもの。アスリートの選手生命は短いから、リアルタイムで見なきゃ、損でしょ。

 20年の東京五輪では体操の白井健三選手、卓球の14歳の伊藤美誠選手ら、楽しみがいっぱいある。野球も五輪に必ず復活してほしい。私も小さいころは野球をやっていたから。そして、大谷翔平選手が大好きなの。きれいな青年で、初々しさもあって、汚れを知らないでしょ。大谷選手が五輪で活躍する姿を見てみたい。五輪の時期は毎晩寝不足で、よろよろしちゃうけれど、ワクワクドキドキしながら見ていると、幸せにしてくれる。私の人生からスポーツ中継を見る楽しみがなかったら、退屈だろうと思います。

(2015年04月29日東京本社版掲載)

【注】年齢、記録などは本紙掲載時。