<お笑いコンビ「デニス」/植野行雄(33)>

 お父さんがブラジル人で、お母さんが日本人、そして大阪育ち。顔はブラジル人でも中身はコテコテの関西人で、ポルトガル語は全く駄目。国籍は、ずっと日本です。そんな自分にとって96年のアトランタ五輪は衝撃でした。サッカー日本代表が1―0で王国ブラジルを破った。お父さんは、すごくショックを受けてました。自分は、どっちも負けて欲しくないから、レフェリーを応援してました(笑い)。それでも、まさかブラジルが負けるとは…。

 お父さんは、僕をサッカー選手にするつもりでした。ポジションはFWかMF。小学生くらいまでは、1試合で5、6点は取ってましたから、周りの期待も大きかったんです。でも中学に入るとサボり癖が出てきました。お父さんが「ブラジルに留学させる」って言い出したのを、全力で断りました。あの頃、ちゃんとやっておけば、今ごろ、本田、香川、植野だったんですけどね。

 来年のリオ五輪では、ブラジルにサッカーで金メダルを取って欲しい。昨年のW杯でドイツに大敗した汚名を返上して欲しい。あとはバレーボール、バスケット、それに柔道にも期待しています。

 今までに見た五輪で印象深いのは、左膝をけがしながら古賀稔彦選手が柔道71キロ級の金メダルを取った92年のバルセロナ五輪。感動しました。前回のロンドン五輪でレスリング女子48キロ級で金メダルを取った小原日登美選手もすごいと思います。吉田沙保里選手という壁もあって1度引退、階級を下げて復帰してですからね。

 リオ、そして東京五輪へ向けて期待する選手は、世界陸上北京大会で男子200メートル準決勝進出を果たしたサニブラウン・ハキーム(16=東京・城西高2年)。ガーナ人のお父さんと、日本人のお母さん。同じハーフの仲間です。彼には「学校が同じ」「地元が同じ」みたいな気持ちを持ってます。あとはW杯で南アフリカを破ったラグビー。リオで7人制が採用されるけど、どこまでやれるか楽しみ。自分としては、リオが盛り上がるように力になりたい。そして、それを東京にバトンタッチしたいですね。

(2015年9月23日東京本社版掲載)

【注】年齢、記録などは本紙掲載時。