<バスケットボール男子元日本代表/レバンガ北海道選手兼代表 折茂武彦(45)>

 アスリートである以上、五輪は必ず目指さなければならない場所であると考えてきました。若い時に企業チームに所属していた時も「日本がオリンピックに出れば、日本のバスケット界が(プロ化など)何か変わるんじゃないか」という期待を、常に抱いてプレーしていましたね。

 「番狂わせ」とも言われていますが、ラグビーがW杯で一気に注目を浴びたのは、世界の強豪を相手に勝ち切ったから。世界大会で勝てばマスコミにも取り上げられますし、世界中から注目も浴びる。日本代表が強ければ、競技自体が盛り上がるのは間違いありませんから、バスケットもあと5年の中で、どう代表の強化を進めていくのかが大事でしょう。

 代表で思い出すのは僕にとって2度目の五輪挑戦だった99年のアジア選手権(00年シドニー五輪予選)です。(ホームの)福岡が会場なのに、観客席はスカスカ。どの国に行っても地元チームの試合は応援がすごいのに、まったく人がいない。どこで何をやっているのか、一般の方が知らない。マネジメントのひどさに、がくぜんとしました。

 国内のバレーボールの試合に、選手や試合を見に来ている人がどれだけいるかは分かりません。ただ、タレントを使って会場に人を入れて盛り上げるというのは、日本代表を強くする1つの手段として、いいことだと思います。バスケットボール界は、それすらもできず(76年モントリオール五輪を最後に、出場すらできない)今の状態を作ってしまったんですから。

 (日本バスケットボール協会会長の)川淵さんが先頭に立って改革を進めたおかげで、国内リーグが統一されるなど、ようやくバスケット界がいい方向に向かい始めています。女子はリオ五輪の切符をつかみ、少し組み合わせに恵まれたとはいえ、男子も来年春のリオ五輪最終予選出場権を確保しました。

 東京五輪は5年後ですから、まさか自分が現役でいることはないでしょうが、どんな立場にあっても、できる限りのサポートをしていきたいと思います。(2015年11月4日東京本社版掲載)

【注】年齢、記録などは本紙掲載時。