<2020年東京五輪・パラリンピック 大会組織委員会スポークスパーソン 小野日子(51)>

 今年の1月5日、虎ノ門の組織委員会で就任のごあいさつをさせていただいた時、報道陣の多さに驚きました。これが五輪・パラリンピックの関心の高さなのかと。大変なところに来たなと思いました。

 私は外務省時代の経験を生かして、東京2020大会を国内外に発信するのが仕事です。伊勢志摩サミットではパラスポーツの体験会を行いました。ブラインドサッカーやボッチャなどを、安倍首相夫人の昭恵さんやカナダ首相夫人らにも来ていただいて、地元の子どもたちとともに体験しました。

 仕事場に来ると勉強の連続です。何大会連続で五輪取材をした記者たちが多くいて、相当に知識がいります。良いニュースばかりではありませんが、そこは全体像を国内外に真摯(しんし)に伝えていくしかありません。

 「組織委員会って何やってるの?」という声をよく耳にします。その疑問に答える広報誌「2020たより」を6月から発行しました。編集長は私で、各部局、自分の仕事を抱えながら兼務で制作し、季刊で出す予定です。

 外務省では国際広報などを中心に担当し、12~14年は首相官邸に出向して、国際広報室長も経験しました。安倍首相に付いて1年で地球を6・2周した時もありました。

 外務省では、ひとつ上の先輩に皇太子妃の雅子さまがいらっしゃいました。外務省2、3年目にオックスフォード大に留学した際、スキーをご一緒したり、箱根に温泉旅行したことも良い思い出です。(雅子さまの旧姓)小和田先輩は本当にキラキラしていました。

 そんな外交官のイメージは私には当てはまりません(笑い)。中学1年の息子がいて家事、育児と仕事の両立に全力な「働く母」です。毎朝4時台には起きて息子のお弁当と家族の夕食を作って仕事に出ます。とはいえ、私も仕事でIOC(国際オリンピック委員会)の方が来られた際など、森会長らとともに夜の会食に同席します。その際は同期の外交官でもある夫に、いろいろ頼みます。おかげで夫はどんどん家事が上達しています。なんとか両立させ、大会成功のために頑張りたいと思っています。


(2016年6月29日東京本社版掲載)

【注】年齢、記録などは本紙掲載時。