<プロ野球 日本ハム2軍監督 田中幸雄(49)>

 シドニー五輪の前までは、五輪の野球はアマチュアの選手たちが出ていました。そういうものだと自分でも思っていたし、最初は、すごいという感覚が自分の中でなかったです。シーズン中でしたし、あまり出たい気持ちがなかったのは正直なところでした。選ばれたので出るしかなかった。申し訳ないですけど〝仕方がなく〟というのが最初です。ただ〝始まるまでは〟です。試合をしていく中で日本代表としての重みをすごく感じました。試合ごとに負けられない、1つも負けられないという意識が湧いてきました。けっこうプレッシャーでした。

 勝てばいいですけど、負けるといろいろな批判も飛んできました。「日本に帰れると思うなよ」というようなものもありました。最低でも3位までに入らないといけないと思っていました。初めてプロとアマの選手が一緒になって出た大会でしたし、本当にみんな、一生懸命やったのは間違いありません。

 光栄だったのは大会後に、天皇陛下に皇居へお招きいただいたことです。「天皇、皇后両陛下とシドニー五輪入賞者らの茶会」に参加させていただき、陛下からお声もかけていただきました。とてもいい思い出です。五輪に出る前にいろんな方から「絶対、出た方がいいよ」と言われました。後々の人生に役立つ可能性もあるということで。確かに記念にもなりましたし、誇りにもなりました。

 20年は東京で、日本で行われるオリンピックですから、全員が同じ気持ちで戦って金メダルを取ってほしいなと思います。野球人としても、日本人としてもそう思います。日本ハムからも代表選手が出てほしいです。今だったら中田翔とか、候補はいますし。2軍監督という自分の立場からすれば、今は2軍で実力を磨いている若い選手も代表に選ばれるくらい成長していてほしいです。まだまだの選手も多いですが、可能性は秘めていますから。そんな夢物語が見られたら、最高です。


(2017年5月31日東京本社版掲載)

【注】年齢、記録などは本紙掲載時。