ラグビーは昨夏のリオデジャネイロ五輪から男女7人制が正式種目として採用されました。日本は、女子は10位に終わりましたが、男子は強豪ニュージーランドから勝利を挙げるなど、4位入賞を果たしました。ラグビー界にとっては15年W杯に続く素晴らしい結果でした。ただ、五輪の中に入れば「ラグビー界としては」という考え方は通用しないんだとも痛感しました。メダルを取らないと活躍はすぐに忘れられてしまいます。7人制の面白さ、魅力を伝えるためにも、東京五輪ではメダル獲得という結果にとことんこだわっていきたいと思っています。

 五輪に出たことは強化の面においても大きな影響がありました。五輪競技となったことで、それまで交流のなかった他の競技団体と良好な関係が築けるようになりました。女子バレーの関係者と議論を交わしたり、ハンドボールの方と分析の意見交換も行っています。互いの競技の技術は分からなくとも、相手国の分析、フィジカル、メンタル面の強化、栄養面、移動での工夫…、共通している部分はたくさんあります。

 15年W杯に向けた準備では、エディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ(当時)とともに、64年の東京五輪で女子バレーを金メダルに導いた大松監督の指導を参考にさせていただきました。何百日も合宿をし、オリジナルの必殺技を作る。我々も一緒でした。徹底的な練習で世界と戦う独自の武器を作り上げ、勝利につなげました。ラグビーをラグビーだけで強化するのは限界があると感じますし、日本のスポーツ界にはいろいろなところにヒントが隠れていると思っています。

 日本は19年に母国開催の15人制W杯も控えており、ラグビー界にとっては大切な2年間を迎えます。95年のW杯で日本はニュージーランドに145点を奪われる歴史的大敗を喫しましたが、その20年後には同じW杯の舞台で強豪南アフリカから勝利を奪いました。19年も20年も高い結果が求められます。難しい挑戦ではありますが、決して不可能ではないと思っています。

(2017年9月27日東京本社版掲載)

【注】年齢、記録などは本紙掲載時。