五輪には、96年アトランタ大会から4大会連続で出場させていただきました。テニスには、4大大会(グランドスラム)という最高峰の大会があります。しかし、五輪は全く雰囲気も環境も違います。国旗の多さで、国の代表だというのを強く感じますし、選手村で過ごしたり、他の競技の選手と交流するのも、テニスでは経験できないことばかりです。私の中では、5つ目のグランドスラムとして臨んでいました。

テニスは、88年ソウル大会から正式競技に復帰しました。ですから、私がテニスを始めた時には、まだ五輪競技ではなかったんです。初めて意識したのは92年バルセロナ大会。その時、国内予選があったんです。17歳だった私は、負けてしまったんですが、これに勝てば五輪に出られると、強く意識したのを覚えています。

アトランタは、体調を崩したこともあり満喫できず。続くシドニーはスランプだったので楽しめなくて。やっと3度目の04年アテネ大会で丸ごと五輪を楽しめました。初めて開会式に出させていただいたのですが、感動しましたね。入場した瞬間、胸がわーっとなったのを覚えています。鈴の音やブルーの色彩など、まだ鮮明によみがえります。

東京五輪のテニス競技は、特に暑さ対策が大事になります。選手にとっても、観客の皆さんにとっても、万全の環境を準備するというのが東京五輪パラリンピックの使命です。アテネも暑かったのですが、夕方からプレーが始まるなど工夫されていました。

おもてなしという部分を考えると、日本人の細やかな心遣いは、他の国にはないサービスです。みんなが来て良かったなと思える環境をつくりだしてほしいですね。時間の細かい工夫や、多くのアイデアを見つけて、おもてなしするというのは日本人の特徴です。そして、アスリートファースト、そして観客の人にも楽しんでもらいたいです。(258人目)