12月1日付で三井住友海上女子柔道部の新監督に就任しました。89年の創部から31年間指導にあたった柳沢久前監督(73)の教えを継承し、(1)五輪・世界王者の輩出(2)人間的に成長(3)社会貢献の「3大目標」を大切に、努力を積み上げることを伝えたいです。経験上、日々努力して己の限界を超えないと、勝てる選手になれないと考えます。

現役引退した09年からコーチでした。17年12月に都内にペットサロンを開業したことで、責任重大な監督だなんて考えてもなかったです。昨年5月に父を亡くしましたが、生前父から「雅恵にはずっと柔道に携わってほしい。監督になれば良いのに」と言われていました。さらに、コロナ禍の影響を受けながらも、地道に活動に取り組む後輩たちの姿を見て「何か私にもできないかな」と熟考しました。残りの人生も考えて「チャレンジしたい」と決断し、柳沢先生に思いを伝えました。

オリンピック(五輪)はドラマが生まれる舞台です。3大会連続出場し、印象深いのが04年アテネ大会後の4年間です。北京大会前年の07年世界選手権代表に落選して、絶体絶命のはずなのに「来年の五輪で絶対金メダルを取る」と確信があったんです。自信ではなく確信です。直感を大事にしていますが、不思議と金メダルが取れたんです。周囲からは「ピーキングがうまい」などと言われましたが、「できるか」「できないか」だと思うんです。強い気持ちで信念を貫き、その結果を出すためには自分を信じて努力する。勝負師は「1番になる」という気持ちが重要です。犬も柔道の世界も同じようなものです。ハサミも毎日握らないと下手になり、犬の扱いも衰える。それは柔道も同じで、毎日稽古で鍛錬しないと強くなれない。何事もつながっていて、私は柔道と犬が大好きだから、最終的にこういった形になったのかと思います。この2つとは、一生付き合っていきたいです。(328人目)