オリンピック(五輪)といえば冬季五輪、そしてチームワークという印象が強いです。7歳の時、テレビで長野五輪の中継を見ていたのを鮮明に覚えています。物心がついて、記憶に残っている最初の大会です。

長野五輪のスキージャンプ団体が獲得した金メダルは、子どもながらとても感動しました。ジャンプを飛んだことはありませんが、福井県出身で小学校の頃はスキーをしていたので余計かもしれません。降り続ける雪の中で仲間を信じて祈る選手たちの姿が、とても印象深いシーンでした。大ジャンプを成功させた原田さんが祈るように見ていて、最後は船木さんがしっかり飛んで「あ、金メダルだ!」と自分でも思った瞬間でした。それから夏季五輪もたくさんリアルタイムで見ていますし、大人になって最近の五輪も見ています。それでも、最も心に残っていて、鮮明によみがえってくるのはあの原田さんや、船木さんの姿なんです。

振り返ってみると、『これを飛んだら、このジャンプを成功させたら五輪の金メダル』というプレッシャーの中で戦っていた選手たちが、とてもかっこよく見えたんだと思います。僕もプロ野球選手になり、侍ジャパンとして戦わせていただく機会がありました。15年には第1回プレミア12、16年にも強化試合に出場しました。プレミア12ではベンチにいるだけでも、日の丸を背負って世界と戦うことのプレッシャーや緊張感、独特な雰囲気を味わうことができました。

トップレベルの選手が集まる侍ジャパンでは、いろんな選手の考え方、意識の高さ、野球に対する取り組みなど、すごく勉強になりました。当時の小久保監督は、練習からよくコミュニケーションをとってくれました。打撃練習で「前の日よりも1ミリでもいいから、1センチでもいいから遠くに飛ばしなさい。それくらい強く振りなさい」とアドバイスをいただきました。常に前の日の自分を超えていくことが、成長につながると受け止めました。

大舞台でプレッシャーがかかる中、トップレベルで勝つということは、すごく難しいと思います。だからこそチームワークや、仲間を信じる気持ちが見る人にも伝わるはずです。東京五輪では、もちろん野球に注目します。でも、競技が違っても世界で戦っているアスリートの皆さんを、応援したいと思っています。(329人目)