北京五輪に関わるスタッフの心遣いに助けられている。

ホテルのベルが突然鳴った。モニターに映る防護服の人たち。何事だろうとドアを開けるとチョコレートを渡された。数秒間、理解できなかったが、文字を見てバレンタインデーのチョコだと気がついた。

前夜はスピードスケート女子500メートルで高木美帆が銀メダルを獲得。取材、執筆後にホテルに帰ったのは午前1時を回っていた。よほど疲れていたのかシャワーも浴びず、部屋に戻った瞬間にベッドに横たわり、気づいたら朝。当然、バレンタインデーのことなど頭になかったから驚いた。

その後、スピードスケート会場に取材に行くとボランティアが新年のお祝いに使うという小さな飾りをくれた。2月は中国の春節(旧正月)。ボランティアの女性は「これは新年のラッキーアイテムです」と「福」をくれたのだ。

循環バスもほぼ時刻表通り。五輪専用レーンも一般車両が違反して入って来ることもない。タクシーも「ウーバー」と同じシステムで簡単に呼べ、決済も完全キャッシュレス。おもてなしの心がつまった大会運営に、氷点下23度だったジャンプ会場の取材だって耐えられた。【三須一紀】