静岡県勢の金メダリスト2人が、生徒たちに“金言”を授けた。東京パラリンピック自転車女子個人ロード2冠の杉浦佳子(50=楽天ソシオビジネス、掛川市出身)は11日、伊豆市の伊豆総合高で講演。「困難を乗り越える勇気」をテーマに語った。先月の体操世界選手権女子種目別平均台優勝の芦川うらら(18=静岡新聞SBS、富士市出身)も同日、富士市立須津(すど)小を訪問。夢に向かって努力することの大切さを訴えた。

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杉浦は、45歳の時に趣味で参加したロードレース中に転倒。くも膜下出血、頭蓋骨骨折などの大けがを負った。脳にも高次脳機能障害が残ったが、努力を続けて、障がい者スポーツの頂点を極めた。講演では、自身の経験をもとに熱弁した。

「私は障がいを負って薬剤師に戻れなかったからこそ、パラリンピアンという新たな道を切り開くことができた。困難はチャンスかもしれない。皆さんが進む道にも、困難があるかもしれない。その困難を乗り越えた先には、明るい未来が待っているはず。勇気を持って歩んでください」

参加した430人の生徒も、真剣に金メダリストの言葉1つ1つに耳を傾けた。自転車部所属の真壁雄大(ゆうた、2年)は「努力をして、どん底からはい上がった杉浦さんは本当にすごい。話を聞けて励みになりました」と強調。既に出場を決めている来年3月の全国選抜に向けて、刺激を受けた様子だった。

スポーツ庁の室伏広治長官(47)が視察に訪れた。【前田和哉】