【パリ10日=阿部健吾】男子フリー65キロ級決勝で清岡幸太郎(23=三恵海運)が金メダルを獲得。レスリング日本男子の金4個は68年メキシコ大会以来、56年ぶり。男女合わせて金7個は過去最多更新となった。

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堂々と笑って振り返った。「誰が俺が優勝すると思ってたんだと」。1年前は日体大の練習仲間でも1番手ではなかった。世界選手権出場歴もない。湯元コーチが「シンデレラボーイ」と驚く新星が一気に世界の頂点に駆け上がった。

決勝はアジア王者アムザドハリリ(インド)に第1ピリオド(P)序盤でリードを奪われたが、あえて「ノープラン」で体の反応に委ねて反撃。超攻撃スタイルを貫き、両足タックルから相手の太ももに頭を突っ込んで回す通称「リンクルホールド」で転がし続けて10-1に。第2Pはしのいで雄たけびを上げた。

女子57キロ級で女王となった桜井とは生まれた病院も同じ幼なじみ。母親同士が同僚だった縁で、桜井の父優史氏が立ち上げた高知クラブで4歳で競技を開始した。先に結果が出たのは桜井。国際大会で優勝して、祝福の出迎えに行った高知空港だった。悔しさから「超ふてくされて」。その姿に桜井監督から諭された。「こういう時にちゃんと歓迎しないと、自分の時にやってもらえない」。高校、大学と進学しても、この言葉を忘れなかった。

一気に飛躍したきっかけは、自分の気持ちに素直になったこと。「主人公になりたい」。大学のリーグ戦の勝負を決める大一番に連勝し、喝采を浴びた。幼なじみのライバルとの比較で鬱屈(うっくつ)とせず、「自分はこういうタイプと認識した」。目立つ、勝つために攻撃を研ぎ澄ませた。選考会を勝ち抜き、世界へと羽ばたけた。

今大会も桜井が先に金を取ったが「すごく後押しになりました」と力に変えた。無用な悔しさはなかった。「孫悟空になりたい」とマンガ「ドラゴンボール」の主人公にあこがれる新星。表彰式後の記念撮影、かめはめ波ポーズを決め、大舞台の主役となった。

◆清岡幸太郎(きよおか・こうたろう)2001年(平13)4月12日、高知県生まれ。高知南高から日体大を経て今年4月から三恵海運所属。母親同士が同僚だった縁で、女子57キロ級金メダルの桜井つぐみの父優史氏が立ち上げた高知クラブで競技を開始。昨年12月の全日本選手権準決勝で21年東京大会金メダルの乙黒拓斗を破るなど、初優勝を飾った。166センチ。