記者コラム:星名記者 - 前編

元ライダー記者が解説!服装&技術面の注目ポイント

06年、関西四場馬術大会で競技の前に練習する星名
06年、関西四場馬術大会で競技の前に練習する星名

 馬術競技ってどこに注目すればいいの? 元ライダーの本紙・星名希実記者(24)が競技観戦のポイントを解説します。星名記者の祖父は74年第6回摂津杯、第17回園田金盃で優勝するなど、園田競馬の騎手や調教師として活躍した立田和明氏。さらに、同競馬場で祖母が飲食店、曾祖母が売店を経営していた。幼いころから馬が好きだった星名記者は、小5で阪神競馬場の馬術スポーツ少年団に入団。中でも障害馬術が得意だった。中2の06年には、阪神、京都、栗東、中京の4つの乗馬センターで行われる関西四場馬術大会のクロス障害部門で2位に入賞するなど、5年間、馬術競技を経験した。前編では競技時の服装と技術面の注目ポイントを解説します。

美しさで魅せる馬場馬術 迫力で楽しませる障害馬術

 馬術と聞くと「馬に乗ってパカパカと走るのだろう」とイメージする人が多いと思います。しかし、それは乗馬であって、馬術は競技としてのスポーツです。

 馬場馬術は美しさやエレガントさを競う、つまり魅せて楽しませる競技。障害馬術は様々な障害を越えるダイナミックさとミスなくゴールする、ち密さを併せ持ち、その迫力で楽しませる競技です。他のスポーツでたとえるなら、馬場馬術はシンクロナイズドスイミングやフィギュアスケート、障害馬術は陸上の400メートル障害や3000メートル障害といったところでしょうか。

◆服装―馬場馬術はえんび服 障害馬術はジャケット

 まず、馬術を全く知らないという人は、人馬の見た目から入ってみてください。競技のショージャケットですが、馬場馬術は背中の丈が長いえんび服を着用し、シルクハットをかぶります。障害馬術は激しい動きを伴うので、丈の短いジャケットでヘルメットをかぶります。また、馬のたてがみを編んでいることもあるので、そこに注目するもの面白いでしょう。

馬場馬術の法華津寛は丈の長いえんび服とシルクハットを着用(撮影・PNP=12年ロンドン五輪)
馬場馬術の法華津寛は丈の長いえんび服とシルクハットを着用(撮影・PNP=12年ロンドン五輪)
障害馬術の杉谷泰造は丈の短いジャケットとヘルメットを着用(撮影・田崎高広=12年ロンドン五輪)
障害馬術の杉谷泰造は丈の短いジャケットとヘルメットを着用(撮影・田崎高広=12年ロンドン五輪)
◆馬場馬術―ライダーの姿勢とバランスの良さが重要

 馬場馬術を観戦するときは、ライダーの姿勢、バランスに注目してください。

①手
 手綱は引っ張りすぎず緩めすぎず、ピンと張っている状態が良いです。手綱を持つ手は握り拳ですが、手の甲が上にならないようにします。親指と人さし指、薬指と小指の間に手綱を挟み、親指が上にくるように持ちます。手は低い位置をキープして、上がっているのは良くありません。
②胸、肩、背中
 競馬の騎手は「モンキースタイル」と呼ばれる前傾姿勢で馬に乗っていますが、馬場馬術のライダーは前傾姿勢になってはいけません。胸を張って肩を開き、背骨をまっすぐの状態にしていることが大切です。
モンキースタイルと呼ばれる前傾姿勢で騎乗する競馬の武豊
モンキースタイルと呼ばれる前傾姿勢で騎乗する競馬の武豊
背骨を真っすぐの状態で騎乗する馬場馬術の法華津寛
背骨を真っすぐの状態で騎乗する馬場馬術の法華津寛
③尻
 馬に乗っていると、お尻がポンポンと浮く反動があります。この反動は馬によって大きいものや小さいものがありますが、お尻が浮くことなくしっかりと鞍の上に座っている状態が望ましいです。
④足
 膝で馬体を挟みすぎず、踵が下がっている状態がいいです。

 ライダーの姿勢やバランスの良さが馬の動きを決めるので、ここが大きな注目ポイントです。馬の首が下方向に曲がっているときは、ライダーの姿勢、バランスの良さ、そして指示が手綱とハミ(馬の口に含ませる金属棒状の馬具)を通じて馬に伝わっている証拠です。

◆障害馬術―障害の高さと飛越時&前後の動きに注目
障害を飛越する杉谷泰造(撮影・田崎高広=12年ロンドン五輪)
障害を飛越する杉谷泰造(撮影・田崎高広=12年ロンドン五輪)

 障害馬術は、障害物を飛んでいるときはもちろん、飛越の前後の動きなど注目すべきポイントがたくさんあります。

①飛越前~飛越
 まず、競技スタート前にこれからライダーと馬がどんな高さ、種類の障害物を飛ぶのかをざっと確認することができます。そのときに「こんなにも高いものを飛ぶのか」と思うはずです。そして競技が始まり、障害物の前で前足から大きく体を動かしてジャンプする馬と、飛ぶときに一瞬前傾になりお尻を浮かすライダーを見れば、「馬は人を乗せてこんなにも高く飛ぶことができるのか!」と驚いてしまうと思います。ライダーが前傾になるこの瞬間は、馬が「飛ぶよ!」と言ってくれているみたいで、最も馬と一心同体になれるときです。
②飛越後
 また、障害を飛んだあともよく見てください。飛んだあとにしっかりと着地し、人馬ともども姿勢を戻すと拍手が起こります。ライダーも馬も次の障害物のことを考えてそれに視線を向けています。次の障害物に移るとき、何歩で進むか考えるライダーもいるので、一緒に数えてみるのも楽しいと思います。【星名希実】
後編―愛馬とのコミュニケーション
記者プロフィル
星名希実(ほしな・のぞみ)
◆星名希実(ほしな・のぞみ) 1992年(平4)7月10日、兵庫・尼崎市生まれ。同大在学中、単位互換の試験に合格し、早大に国内留学。14年度早大体育祭の司会を務めた。今年1月の尼崎ボート福娘福男選抜の花束プレゼンターを経験。16年4月に大阪本社に入社し、整理部で紙面レイアウトを担当。趣味は貯金。159センチ、血液型AB。
日本馬術連盟公式サイト

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