【リオデジャネイロ22日(日本時間23日)=益田一弘】陸上男子400メートルリレーの銀メダリスト対決が帰国後いきなり実現する。リオ五輪閉会式から一夜明け、日本選手団が帰国の途についた。五輪の男子トラック種目で史上最高成績を残した4人のうち、山県亮太(24)飯塚翔太(25)ケンブリッジ飛鳥(23)が、全日本実業団選手権(9月23~25日、大阪・長居)で200メートルに出場を計画していることが分かった。抜群のチームワークを見せたメンバーのガチンコバトルが見られそうだ。

 アジア新記録で歴史的な銀メダルを獲得した3人が、激突する可能性が出てきた。社会人NO・1を決める全日本実業団選手権2日目の9月24日。大学生の桐生を除いた、リレーメンバーの1走山県、2走飯塚、4走ケンブリッジが、大阪・長居に集結して、男子200メートルを舞台に激しい火花を散らす。

 3人はこの日、リオデジャネイロの空港で全日本実業団について口を開いた。

 飯塚

 200メートルで出ます。

 ケンブリッジ

 200メートルに走りたいと考えています。練習の状態を見てからになりますが、現時点では出たいなと思っています。

 山県

 100メートルでいい感覚をつかんでいるので、1本出ておきたい気持ちがありますが、全日本実業団は200メートルをメインに考えています。

 200メートルは、6月の日本選手権を制した飯塚の主戦場。そこに、五輪で100メートル準決勝に進出したケンブリッジと山県が挑む形だ。山県は、銀メダリスト対決に向けて「これからもずっと競いながら、やっていくことは避けられない。そうやってタイムを縮めていく」ときっぱり。ケンブリッジも「競い合ってやるのもいいです」と口にした。

 リオ五輪では抜群のチームワークでお家芸のアンダーハンドパスをさく裂させて、ジャマイカに次ぐ2位に入った。そのメンバーがライバル同士となって、レースで真剣勝負する。

 4年後の東京五輪で金メダルを取るためには個人の走力アップが必要になる。激しい争いを繰り広げることが、日本リレーチームの底上げにつながる。帰国後のコンディションによってレースを回避する可能性も残されているが、三つどもえの争いが実現すれば、注目されることは必至だ。

 ◆男子400メートルリレー決勝VTR

 日本は5レーン。1走山県が飛び出し、前世界記録保持者のパウエル(ジャマイカ)を引き離す。続く飯塚は200メートルが本職ながら、100メートル銀のガトリン(米国)らと互角の走り。3走桐生の好走で、ジャマイカとほぼトップで並んでアンカーへ。ケンブリッジは隣のボルトに引き離されたものの、史上最高の2位でフィニッシュ。国別で世界歴代3位となる37秒60のアジア新記録で銀メダルを獲得した。3着の米国はバトンミスで失格、カナダが銅メダルとなった。